学生やビジネスパーソンの強い味方である、牛丼チェーンのすき家。350円(税込み、以下同)で牛丼並盛が食べられるコストパフォーマンスのよさに、日頃お世話になっている人も多いのではないだろうか。
すき家の2017年3月の営業成績(既存店)を見ると、前年同月比で客数こそ2.4%減だが、売上高は0.2%増、客単価は2.7%増という結果になっている。近年、いわゆる「ワンオペ問題」に端を発する労働環境の悪化が伝えられ、売上高や客数の面でダメージを受けていたが、徐々に持ち直している印象だ。
これまで、「きのこペペロンチーノ牛丼」「アボカド牛丼」などのオリジナリティあふれるメニューを販売、インターネットを中心に話題になってきたすき家だが、ついに「低糖質」に取り組み始めた。
こんにゃく麺を使用した「ロカボ牛麺」(490円)と「ロカボ牛ビビン麺」(590円)が、4月5日から全国1952店舗で販売開始されたのだ。「ロカボ」とは、すき家の公式サイトによると、以下のようなものだ。
「生活習慣病予防や体に負担をかけないダイエットとして注目を集めている“ロカボ”。一般社団法人食・楽・健康協会が提唱している『緩やかな糖質制限』のことをいいます。糖質を1食あたり20~40g、おやつ10g、1日あたり70~130gに制限することにより、糖が中性脂肪として蓄積され肥満や生活習慣病を引き起こしやすくなるといわれる食後の血糖の急上昇を抑える新しい食事方法です。最低必要量の糖質は確保した上で、エネルギー源やからだの構成成分の材料として重要なたんぱく質や脂質はしっかりと摂取するよう推奨されているため、無理なく楽しんで健康なからだづくりを続けることができます」
すき家、なぜ低糖質商品を開発?その自信と狙い
牛丼チェーンであるすき家がロカボに着目したのは、なぜだろうか。また、そもそも牛丼店に健康に対する意識の高い客が訪れるのだろうか。すき家を運営するゼンショーホールディングスに、新メニューの狙いなどを聞いたところ、以下の回答を得た。
「すき家には多くのお客様がご来店されます。社会的な背景として、健康志向の高まりもあり、糖質が気になる方や、そうでない方にも選んでいただけるメニューのひとつとして開発しました。あくまでも、メインは牛丼です。しかし、社会的な流れを受け、全国に1950店以上を構えるチェーンとして、誰もが身近でお手軽な価格で、このような商品をお召し上がりいただける場としてご利用していただきたいと考えております」(ゼンショー広報担当者)
確かに、コンビニエンスストアに並ぶペットボトル飲料や菓子類にも「カロリーオフ」「糖類不使用」をうたう商品が増えるなど、現在は健康への関心が高まっている。
そこに着目、誕生したのがすき家の新メニューということなのだろう。しかし、こんにゃく麺を使用している点などから、味やボリューム的に従来のすき家ファンに受け入れられるのか、という疑問も残る。ともすれば、「健康的なのはいいけど、本当においしいの?」という声が上がりそうだ。そうした点について、ゼンショー広報は以下のように回答する。