春、新年度を迎え、一年でもっとも人の移動が多い時季である。転勤、進学、移住と転居の理由はさまざまだ。街中を引っ越し業者のトラックが行き交う日々が続く。
1年間で一体どれだけの人々が居住地を変えているのだろうか。総務省が1月に発表した「住民基本台帳人口移動報告 平成28年(2016年)結果」によると、2016年の日本人の市区町村間移動者数(転居した人)は488万967人で、2年ぶりに減少した。
ピークの高度成長期(1970年代前半)は800万人以上だった。つまり、6割程度になったわけだが、それでも年間に500万人近くが引っ越しをしていることになる。
このうち都道府県間の移動者数は227万5331人。年齢5歳の階層別にみると、20~24歳が約45万人でもっとも多く、次いで25~29歳が約40万人、30~34歳が約30万人となっており、若い世代の移動が多い。
都道府県別の転入・転出状況は次の通りだ。まずは転入だが、北海道(960人増)と福井県(29人増)を除く45都府県で、前年に比べ転入者が減少している。
転入者数(絶対数)ランキングのトップ5は、以下のとおりだ。
1.東京 約41万3000人
2.神奈川県 約20万5000人
3.埼玉県 約15万9000人
4.大阪府 約15万3000人
5.千葉県 約14万3000人
これに愛知県を加えた6都府県への転入者総数だけで118万人超となり、全体の52%を占めている。一方、転出者数のトップ5は次のようになっている。
1.東京都 約33万9000人
2.神奈川県 約19万3000人
3.大阪府 約15万1000人
4.埼玉県 約14万4000人
5.千葉県 約12万7000人
こちらも、愛知県を加えた6都府県で約106万人となり46%超を占める。この6都府県では、前年に比べ転出者数が減っている。一方、前年に比べ転出者数が増加したのは、熊本県(945人増)、福島県(740人)、石川県(110人)の3県のみとなっている。この3県は転入者が減り、転出者が増えるという厳しい結果となった。
転出超過の上位5道県は北海道、熊本、兵庫、静岡、青森
政府は一億総活躍社会、地方創生を重要政策に掲げている。だが、人口移動を見る限り、成果はまだ表れていない。それは転出超過自治体の多さを見れば一目瞭然だ。