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2023.05.03 22:31
2017.05.12 00:11
高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏
42年間ずっと客殺到の原宿「極上の喫茶店」…「特等席」カウンターから見える珠玉の光景とは
たとえば店のコンセプトは、「女性客を意識した、フランスの片田舎の一軒家の内装」だ。原宿店はビルの地下にあるが、ビル外壁には蔦が生えており、「これからの季節は蔦が伸びて風情が出る」(林氏)という。店内に入ると、焦げ茶色の色調で落ち着いた空間だ。同氏が建築デザイナーの松樹新平氏に依頼して造った空間は、開業当時「フレンチスタイル」として評判となり、多くの店に影響を与えた。当時の店は若い女性客で行列となったという。今回も訪問時は満席で、少し時間を置いてから入店した。
看板商品のコーヒーは、ネル(布)ドリップを用い、深煎りで淹れるのも変わらない。飲んでみると濃厚で、苦みとコクのバランスがよい味だ。チーズケーキも人気だという。別の有名店の経営者が「コーヒーとスイーツを一緒に口にすると、違う味が楽しめる」と語ったことも思い出した。
また、「コーヒー専門店でカウンターがある店は、そこが特等席」や「コーヒーは舌ではなく、頭で味わう」ともいわれる。その理由は、マスターやバリスタの所作も楽しめるからだ。アンセーニュダングルでは、コーヒーの種類によっては、その場でコーヒー豆を挽いてから淹れる。カウンター席なら、真ん中だけに注ぐお湯も注視できる。
「周囲ではなく中央に注ぐ理由は、雑味だけを残して、おいしく抽出されたものだけが下に落ちていくからです」(林氏)
林氏はカウンターでの所作にもこだわり、ここからの景色が好きだという。
「ほかの店員にも『カウンターでは正統派バーのカウンターマンのように振る舞いなさい』と伝えています。しかし、それはパフォーマンスのためではありません。私はお客さまに正面から向き合うのではなく、少し斜めの姿勢で立ちます。そうすると視野も広がり、カウンターからの死角の場所に座られたお客さんの様子もわかるからです」(同)
「本物」や「本質」がわかる人が少なくなった
この店では、コーヒーカップもソーサーも「ロイヤル コペンハーゲン」「ベルナルド」「リチャードジノリ」などの一流品を使う。これも林氏の信念だ。
「わざわざお越しいただいたお客さまですから、おもてなしの意味を込めています。自宅でも来客には、その家にある高級なカップでもてなすのと同じです」(同)
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