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2023.07.02 13:38
2017.08.15 00:36
山田まさる「一緒に考えよう! 超PR的マーケティング講座」
金鳥とダイキンと日本の夏【完全無欠のドキュメンタリー的PR戦略】
たとえば、16年の夏はSNS上で「夏場にエアコンをつけっぱなしで運転したら電気代が安くなった」という情報が拡散したことをきっかけに、「エアコンをつけっぱなしにするのと、こまめに入り切りするのでは、どちらが安くなるか」という疑問がネットで話題になっていた。その問いに対して、実際に比較実験を行い「答え」を提供した。
「ダイキン HP」より
今年の夏は、「熱帯夜の寝室でのエアコンの運転」「(室内の)熱中症対策」をテーマに、引き続き答えを提供し続けている。その鍵を握るのが「湿度」のチェックである。エアコン=温度設定という思い込みがあるが、同じ「28℃」でも、湿度次第で、快適性の体感は大きく変わる。だから、蒸し暑い日中や寝苦しい熱帯夜などは、温度・湿度の両方をチェックすることが大切なのだ。
このような調査や実験など、一つひとつの取り組みは枝葉であり、戦術だ。これ以外にも、空気に関わる動画を制作する、イベントを開催する、巨大屋外広告やモニュメントをつくるなどさまざまな施策を重ねている。
問題は、仕掛ける行動自体が、大きなドキュメンタリーを構成しているという自覚を持つことだ。実験を行う「意図」や、動画を制作しイベントを企てる「姿勢」を通して、一つひとつの施策への「こだわり」が問われるのである。
だから、PR発想で物語をつくるときには、単発の成果のための仕掛けを考案するだけにとどまらず、毎年収穫を繰り返すことができる大きな木をイメージしてもらいたい。PRは、植物を育てるように日々手間をかけて、日差しや雨風に耐えて収穫を重ねることを目指す農耕的な仕事なのだと、私は考えている。決して狩猟的なものではない。そう思うと改めて、いかにPRの木の「根幹」が大切かを痛感するのである。
(文=山田まさる/インテグレートCOO、コムデックス代表取締役社長)
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