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「吉崎誠二のデータで読み解く 住宅・不動産市況の裏側」

安倍首相、退陣なら不動産市況低迷の可能性…この1カ月、小泉退陣直前と同じ動き

文=吉崎誠二/不動産エコノミスト、社団法人住宅・不動産総合研究所理事長
安倍首相、退陣なら不動産市況低迷の可能性…この1カ月、小泉退陣直前と同じ動きの画像12017年衆議院選挙、安倍首相が街頭演説(日刊現代/アフロ)

 9月28日、衆議院が解散となり10月10日に衆議院選挙が公示、22日に投開票ということになりました。今回は、衆議院選挙と不動産市況について考えてみたいと思います。

選挙と株価

 衆議院の解散がささやかれ始めて、解散が近づくと株価が上がることが多いということは過去の例を見ても明らかなようです。
 
 衆議院の解散により、政権与党は票稼ぎのためといわれるような、広域的に有益なかたちでの財政出動を公約に掲げることが株価に好意的な影響を与えるようです。政権を奪取したい野党はこうした政策を「バラマキだ」と批判するのですが、その公約がバラマキかどうかはわかりませんが、少なくとも株価にプラスの影響が出る可能性が高いことは間違いありません。もちろん、選挙関連株といわれる株式もあって、そちらは直接的に売り上げが増える可能性があるので、株価が上がるのもうなずけます。

2017年の衆議院選挙は予測しづらい選挙?

 今回の選挙は、現時点ではどんな決着になるのか、予想が付きにくいといわれています。振り返ってみると、2005年の小泉純一郎首相による「郵政選挙」、09年の民主党(当時)が大勝した「政権交代選挙」、そして12年の自民党が政権を奪い返した「政権再交代選挙」、そして前回14年の「アベノミクス選挙」までは、風がはっきりしており、事前の各メディアの選挙情勢予測が同じで、ほぼ予測通りの選挙結果となりました。しかし、今回の選挙戦は今のところ風が見極めにくいため、予測がしづらい状況のようです。
 
 現状(10月2日時点)をみていると、自公大敗というシナリオはなさそうですが、大敗しないまでも、希望の党などに強烈な追い風が吹くと、議席を大きく減らす可能性が高くなります。「自公で過半数」を勝敗ラインと設定、「過半数割れで安倍首相辞任」と報じられていますが、ギリギリ過半数をとったとしても現有議席から大幅なマイナスになりますので、安倍首相への責任論が噴出してくることは間違いありません。

 今回の解散・総選挙においては、争点がなんだかはっきりしませんので、「郵政選挙」のような「○○選挙」という名前はついていません。執筆時点(10月2日)前後のニュースによると、希望の党に民進党の多くの議員が流れているようです。選挙直前に野党の第一党が事実上消滅するという、これも争点がぼやけることに拍車をかけるような出来事が起きており、「解散する必要があるのか?」という議論に拍車がかかりそうです。

吉崎誠二/不動産エコノミスト、社団法人住宅・不動産総合研究所理事長

吉崎誠二/不動産エコノミスト、社団法人住宅・不動産総合研究所理事長

1971年6月30日生まれ。
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学博士前期課程修了。
主な業務
・不動産・住宅などに関するデータ分析
・解析等のシンクタンク業務
・不動産・住宅関連企業向けコンサルティング業務
・企業の不動産(CRE)に関するコンサルティング業務
・住宅・不動産関連のオウンドメディアサイトの監修業務
・上記に関する原稿執筆、講演など
社団法人住宅・不動産総合研究所

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