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「吉崎誠二のデータで読み解く 住宅・不動産市況の裏側」

安倍首相、退陣なら不動産市況低迷の可能性…この1カ月、小泉退陣直前と同じ動き

文=吉崎誠二/不動産エコノミスト、社団法人住宅・不動産総合研究所理事長

 こうしたなかで、解散の際に安倍首相が「消費税引き上げに伴う、使い道修正の是非を民意に問う」という争点を示しました。これは、いうなれば19年10月に消費税を確実に上げる前提ということになります。

今回の選挙結果と不動産市況について

 では、衆議院解散~選挙~新しい内閣の成立という流れのなかで不動産市況は変化するのでしょうか?

 もしも、自公の議席が伸びず安倍首相が退陣となれば、金融・経済の政策が大きく変化する可能性もあります。18年3月の任期満了を持って日本銀行の黒田東彦総裁の退任は確実で、金融緩和が終了となって不動産市況に陰りが鮮明になりそうです。

 現在でも不動産価格がかなり上昇しており、本来は価格調整局面だと思います。金融緩和、低金利政策の影響下で、なんとか不動産市況は好調を続けていますが、それが一転する可能性があります。一部エコノミストが言うような「オリンピックまでは大丈夫」という状況ではなくなるでしょう。

 一方、自公の議席が伸びた場合、安倍首相の続投の可能性が高くなり、そうすると争点にした消費税の使い道が信任されたということで、19年10月に予定されている消費税10%が、予定通り適用されます。

 そうすると、18年半ば以降駆け込み需要が起こると思われます。14年に8%になった時に起こった13年の駆け込み需要は、5%から8%に上げると決めた時にあらかじめ10%に上げる段階的消費増税でしたので、かなり多くの駆け込み需要がありました。

 そのため8%から10%に上がっても、その時ほどの大きな駆け込みが起こるとは思いませんが、ある程度の駆け込み需要が発生するでしょう。

首相の在任期間と不動産市況

 では、近年の衆議院選挙と不動産市況について見てみましょう。

安倍首相、退陣なら不動産市況低迷の可能性…この1カ月、小泉退陣直前と同じ動きの画像2

(1)第43回衆議院選挙 2003年11月9日投票 
小泉首相:就任から2年6カ月

(2)第44回衆議院選挙 2005年9月11日投票(郵政選挙)
小泉首相:就任から4年4カ月

(3)第45回衆議院選挙 2009年8月30日投票 
麻生首相:就任から11カ月

(4)第46回衆議院選挙 2012年12月16日投票 
野田首相:就任から1年3カ月

(5)第47回衆議院選挙 2014年12月14日投票
安倍首相:就任から1年11カ月

(6)今回 第48回衆議院選挙 2017年10月22日投票
安倍首相:就任から4年10カ月

吉崎誠二/不動産エコノミスト、社団法人住宅・不動産総合研究所理事長

吉崎誠二/不動産エコノミスト、社団法人住宅・不動産総合研究所理事長

1971年6月30日生まれ。
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学博士前期課程修了。
主な業務
・不動産・住宅などに関するデータ分析
・解析等のシンクタンク業務
・不動産・住宅関連企業向けコンサルティング業務
・企業の不動産(CRE)に関するコンサルティング業務
・住宅・不動産関連のオウンドメディアサイトの監修業務
・上記に関する原稿執筆、講演など
社団法人住宅・不動産総合研究所

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