イベント参加店の「実績はさまざま」
冒頭で紹介したイベントに参加した8店の実績はさまざまだ。そのひとつ「Cafeふくろう」(千葉県八千代市)はオープンして11年目。京成八千代台駅から徒歩7~8分の場所にある。自家焙煎コーヒーにこだわり、店主の黒沢崇氏は日本スペシャルティコーヒー協会認定のコーヒーマイスターの資格も持つ。固定客も多そうだ。「カフェは人と人をつなげる役割もあり、店を通じて街のハブになりたい」と語る。
「ユーベル(YuBel)」(船橋市)は、今年2月にオープンしたばかり。自家焙煎珈琲豆もあれば、夜はダイニングバーになる“カフェバー”タイプの店だ。店主の鈴木右一郎氏は「プロント」で8年経験を積んだ後、開業した。実家は千葉県鎌ヶ谷市で24年、母が自家焙煎の喫茶店を営んでおり、亡くなった父は商社マンだったという。
「ブラウンサウンドコーヒー」(習志野市)は京成津田沼駅から徒歩5分ほど。千葉工業大学の裏手にある小さな店だ。女性店主の息才鳩美氏は、他の店でバリスタとして勤務していた時にこの店と出会い、スタッフに志願。数年後に新オーナーとして店を受け継いだ。特徴的なロゴとコーヒーへのこだわりは変わらない。
船橋市役所近くの「アダチコーヒー」(船橋市)は、コーヒー焙煎専門店として3月に開業した。オーナー焙煎士の安達教人氏の経歴は異色で、独立前はリクルートジョブズの社員だった。「前職で営業とマーケティングを鍛えられた」経験を生かし、リスク面も考慮した結果、焙煎豆の販売に特化した店にした。白い壁を基調にした店内はコーヒー豆の色も映える。ただし今回のイベントでは、用意したコーヒー豆など、午前中で品切れとなった品も多かった。貴重な販売機会の損失となり、「まだまだ経験不足です」と素直に反省していた。
「点」が、「線」や「面」に広がるか
異色といえば、前述の世界王者・粕谷氏も、もともとはコーヒー業界の出身ではない。茨城県出身で、青山学院大学国際政治経済学部に進学するとファイナンスを専攻。卒業後は都内のIT企業に就職し、取引先企業のITシステムの保守管理や業務改善業務を担当した。ところが在職中の12年に「1型糖尿病」にかかり入院してしまう。
「ヒマだったので、コーヒー豆と器具を買って病室に持ち込んで淹れてみた。そうしたら全然おいしくなく、なぜだろうと考えたのがコーヒーに魅了されるきっかけでした」(同)