ファミマ、サークルKサンクスの合併は失敗か
ユニー・ファミリーマートホールディングスは、18年2月期の連結営業利益(国際会計基準)を従来予想の412億円から329億円に下方修正した。主力のコンビニ事業で不採算店舗を追加で閉鎖することに伴う減損損失などで160億円の費用が発生するためだ。
ファミマとユニーグループ・ホールディングスが16年9月に経営統合してユニー・ファミマが発足。傘下のコンビニ事業は、ファミマがサークルKサンクスを吸収合併した。
直接比較はできないが、統合前の旧2社の業績をもとに前年同期で比べると、ファミマ単体の17年3~8月期決算(日本会計基準)のチェーン全店売上高は前年同期比0.5%増の1兆5513億円、営業総収入は2.8%増の2543億円、純利益は186億円の黒字(前年同期は164億円の赤字)に転換した。
だが、国際会計基準に基づくファミマ単体の18年2月期の当期純利益は21億円の見通しだ。チェーン売り上げは3兆円超なのに利益はたったの21億円。吸収合併したサークルKサンクスが、強烈に業績の足を引っ張る。
ファミマの10月の既存店売上は1.2%減、客数は4.8%減。17年3月以降、既存店売り上げは5月を除いて毎月前年割れ。客数は4月以降7カ月連続の減少だ。
惨憺たる成績なのがサークルKサンクスだ。既存店売り上げと客数のマイナスは8カ月連続。その結果、11月のチェーン全店の売上高は前年同月比58.6%減。半減どころではない。穴が空いたバケツから水がこぼれ落ちるような惨状ぶりだ。
ユニーの総合スーパーの不振は統合前から予想できたが、サークルKサンクスがこれほど弱いとは考えていなかった。ファミマがサークルKサンクスを合併したことは、大失敗だったと言わざるを得ない。
コンビニ事業の行き詰まりを糊塗するために、コインランドリー、スポーツジムを始めると発表したかたちだ。古くから、大きな内部矛盾を抱える企業は、華々しい新規事業の花火を打ち上げる。自前のスポーツジムの展開には無理がある。そもそも2階建ての店舗をどれだけ確保できるのか。初期投資にどのくらいかかり、何年で回収できるのか。ファミマの自営店以外で、スポーツジムを展開できるのだろうか。スポーツジムより、投資の回収が早い業種がたくさんある。
セブンとファミマを比べると広報力、特に情報収集力と情報発信力に絶望的といっていいほどの差がある。ファミマの広報をテコ入れするために、親会社の伊藤忠商事から、優秀な広報マンが送り込まれる可能性もある。
コンビニが誕生して40年余。「コンビニ5万店飽和説」が声高に唱えられながらも、右肩上がりの成長を遂げてきた。16年(暦年)の売上高は10.5兆円(日本フランチャイズチェーン協会調べ)。16年度のスーパーの売上高は13兆円(日本チェーンストア協会調べ)。
減少を続けるスーパー全体の年商に迫り、小売業の首位の座が射程圏内に入ってきた。ところが、客足が遠ざかるという大きな壁にぶち当たった。コンビニ業界は初めて冬の時代を迎えることになる。
(文=編集部)