地域密着は興行スポーツにおいてもっとも重要なことのひとつ。それを率先して行うDeNAベイスターズは2015年、神奈川に住むすべての幼稚園、保育園、小学生などに球団のキャップを配布した。その数はなんと約72万個。球団創設5周年という節目を迎えた感謝のファンサービスとはいえ、この上ない大盤振る舞いだった。
まずは球場前まで足を運んでもらう
県との協力体制がしっかりできているからこそできたこの大プロジェクトだが、ホームタウンである横浜とは、さらに密接に結びついている。
「横浜市の人口が約370万で、地方都市のなかでは日本で一番規模が大きい。そして、横浜の人は出身地を聞かれたときに、 “横浜出身”と答えるほどに郷土愛が強い市民性があります。その気持ちは球団側も一緒であることを示すために、『I ●(正式には星マーク:LOVE) BAYSTARS』ではなく『I ●(同:LOVE) YOKOHAMA』の言葉をあえて掲げています」(同)
もちろん、地元愛を表現する方法はスローガンだけではない。DeNAベイスターズの主催ゲームは本拠地開幕戦と最終試合を除く試合でスポンサー企業を募っているが、17年シーズンはすべての試合にスポンサーがつき、その多くは横浜にゆかりのある企業だった。
そしてもうひとつ、球場外でも観戦したい気持ちを促す仕掛けがDeNAベイスターズには多いのも注目だ。
「12年シーズンより球場前の広場には『ハマスタBAYビアガーデン』を営業していますが、これも観客増員の大きな要因でしょう。野球観戦をしたことがない方にとって、チケット価格は決して安くない。そういった方にまず無料で観戦できるパブリックビューイングを兼ねたビアガーデンに来てもらうことで、歓声が直に聞こえる球場の雰囲気を知ってもらう。そうすれば、次回はビアガーデンじゃなくて球場に入りたいという気分になってもらえると思います。観戦へのハードルをどう下げるかも我々の役割だと考えています」
チケット入手難の緩和対策で横浜スタジアム改修
前述の通り、近年のDeNAベイスターズの試合は非常に人気で、チケットが購入できないことも少なくない。そういった入れない人の受け皿としてもこういったPV(パブリックビューイング)は意義深い。