消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
実は競輪用自転車の部品は、公益財団法人JKA(旧日本自転車振興会)が定める「登録部品」と「認定部品」に分かれ、高品質の強度と精度が要求されるフレームは登録部品だ。JKAの登録自転車メーカー約30社しか製作できない。フレーム以外のパーツは認定部品の中から選び、各選手が競輪用自転車を組み立てる。そもそも無償提供という概念はない。
昨年の大相撲九州場所前に起きた、現役横綱(当時)による後輩力士への暴行事件に端を発した相撲界のゴタゴタは記憶に新しい。また、今年初場所前に発覚した、立行司による未成年の若手行司への“セクハラ”も大きな関心を集めた。背景には「世間の常識とかけ離れた相撲界の体質」を指摘する声もある。
筆者は30年にわたり企業取材を続けているが、野球界の非常識や相撲界の不祥事をビジネス現場に置き換えると、ひとつの言葉を思い浮かべる。
それは「もう、そんな時代じゃない」という言葉だ。
野球界の指導でも、たとえば鉄拳制裁は、昔は“愛のムチ”として見過ごされたが、今では許されない。有名選手を契約金で囲い込み、次々に用具を無償提供するメーカーと、それに慣れた選手との関係性にも「もう、そんな時代じゃない」という思いを強く抱く。
高額な報酬を得ている野球選手が、自分の大切な“商売道具”は身銭を切って買うという姿勢があれば(すべて買うかどうかはともかく)、その選手のファンもさらに増えるのではないだろうか。
また、自社に課題が見つかった場合、志ある社員は「これからは、普通の会社になりたい」と明かす。この場合の「普通」は平凡ではなく、一般常識や良識あるという意味だ。
仕事が順調だったり、名声を得て必要以上にチヤホヤされると、つい調子に乗ってしまうのが人間の性でもある。自戒を込めて記すが、「普通の社会人」という言葉を、時には意識したいものだ。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)
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