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太陽光発電等、発電コスト最低の電源に…中国が再生エネ大国へ、時代遅れの日本

文=横山渉/ジャーナリスト
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「現在、太陽光発電は電気料金に上乗せされた補助金(再生エネ賦課金)でまかなわれていますが、自立させるにはそうした補助金制度を撤廃していくことが重要です。心配する人も多いのですが、太陽光システム関連会社はコスト削減に企業努力するでしょう。中国製のパネルが安くなっているにもかかわらず、今は土地代や人件費、企業の儲けなどが上乗せされて高くなっています」

 太陽光発電に関わる企業は今後もさらに淘汰されていくものと予測されるが、それはIT業界がそうだったように、新しい業界の常である。黒崎氏が言うように、自立させて業界全体を強くするしかないのではないか。

ベース電源としても期待される海洋温度差発電

 再生エネは太陽光や風力だけではない。まだ一般的には馴染みがないものの、大きなポテンシャルを秘めた開発中の技術もある。そのひとつが海洋温度差発電(OTEC)だ。OTECは、海洋の表層水と深さ600~1000mの海洋深層水との温度差(約20℃)の熱エネルギーを利用して発電するシステム。赤道付近のように海水温度の高い地域が向いており、24時間発電できるので、ベース電源としての役割も期待されている。

 13年6月、沖縄県久米島で世界に先駆けて100kW級のOTECが設置され発電を開始し、沖縄電力に系統連系された。これは沖縄県の事業だが、日本でOTECを研究・開発している佐賀大学海洋エネルギー研究センターの池上康之教授がこの事業に協力している。

 久米島というと、昔からさとうきびが有名で約10億円のメイン産業だったが、現在は海洋深層水が25億円産業に育ち、島経済の大黒柱となった。海洋深層水には植物の生長に必要な窒素やリン、ケイ酸といった栄養分が多く含まれているため、農業や漁業に活かされているのだ。そして、この海洋深層水が今は発電にも活かされている。

「ハワイでは45年に全島、再生エネ100%を目指しています。沖縄も30年に100%を目指していますが、そのひとつとしてOTECがあります。最大の課題はコストで、太陽光のように5kW、10kWという小さな規模では成り立たない。少なくとも1000kWの設備が必要。それで離島のディーゼル発電並み。久米島モデルは、深層水事業と一緒にやることで発電コストが下がります。取水管をシェアすることで、両事業にメリットがあります。今の25億円産業を80億円まで伸ばしたい」(池上教授)

 イノベーションは「技術」×「ビジネス」で生まれる。新しい技術へのチャレンジや革新性によって、その地域が経済的に発展していくことがソーシャルイノベーションだ。海洋深層水で雇用が生まれている久米島もそのひとつの事例である。

 16年4月の電力自由化以降、電力の地産地消を掲げた地域密着型の電力会社が全国に誕生しているが、ソーシャルイノベーションの視点から今後も見守っていく必要があるのではないか。
(文=横山渉/ジャーナリスト)

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