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カルロス・ゴーン、揺れるルノー・日産連合「最高権力者」の座

文=編集部
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新ポスト創設で自ら就任か

 仮にゴーン氏がルノーの会長兼CEOを退任した場合、ルノー・日産・三菱自のアライアンスはどうなるのだろうか。ゴーン氏は昨年3月末に日産の社長兼CEOを退いたが、現在でも日産と三菱自で代表権のある取締役会長を務めている。

 3社連合は1月30日、2017年の世界販売台数が1060万8366台になったと発表したが、これについてゴーン氏は、「(3社連合は)17年に1060万台以上の乗用車や商用車を世界で販売した。フォルクスワーゲン(1074万台)と違い、大型トラックは含んでいない。我々こそが世界一だ」と強調している。

 ゴーン氏の“世界一発言”の真意は、「ルノーのCEO退任後も、3社連合の経営を統括するポジションを新設して、引き続き君臨するための意思表示」(日本の自動車メーカーのトップ)と受け止められている。「アライアンスCEO」などの呼称が考えられる。「ルノーでなんらかの役職にとどまり、日産、三菱自の会長職を続けながら、企業連合全体を統括するのではないか」(日産現役役員)との見方もある。

 マクロン大統領は、ゴーン氏に対して「いつまで続けるつもりなのかというスタンスだった」と伝えられている。ゴーン氏が「ルノーのCEOを辞める」と示唆したのは、「解任されたら、新しいポストを設けて(ルノーに)残ることさえできないので、その前に手を打ったのだろう」(前出の日本の自動車メーカートップ)との読みもある。

 このような駆け引きの効果もあってか、地元紙によるとルノー経営陣は、すでにゴーン氏続投に関し、仏政府など大株主の同意も得たという。

「日本では、日産はルノーの下でいいようにやられているように報じられているが、仏メディアはそうではない。『日産に構っていていいのか。切り捨てたほうがルノーのため』といった論調が目立つ。実際は日産の配当でルノーは潤っているのだから事実に反するが、フランス人は心理的にそう思っている」(外資系証券会社の自動車担当アナリスト)

 ルノーが新体制になれば、日産の経営は一挙に流動化する。ゴーン氏がルノーのCEOを辞めれば、日産の会長にとどまることも難しくなるとみられているからだ。

 ゴーン氏は1999年にルノーと日産の資本提携に合わせてCOO(最高執行責任者)として日産入りし、2001年に日産CEOに就任。05年にルノーのCEOとなった。日産を長期支配してきたゴーン体制は終焉を迎えるのだろうか。そうなれば、“ミニ・ゴーン”といわれている西川廣人・日産社長の地位も、盤石ではなくなる。
(文=編集部)

追記
 ルノーは2月15日に取締役会を開く。現地では「ティエリー・ボロレ氏がNo.2になる」と報じている。空席となっているCOO(最高執行責任者)にボロレが就くということのようだ。「シュテファン・ミュラー氏の辞任が決まり、次期体制の見直しを余儀なくされた」との報道もある。

 ルノーは“ポスト・ゴーン”選びに失敗したということができる。No.2のCOO職を復活させ、ゴーン氏は一転、CEOを続投する方向となった。3月で64歳になるゴーン氏に過度な依存を続ける日産・ルノー・三菱自の3社連合は、厳しい経営のカジ取りを迫られることになる。

 マクロン大統領がゴーン氏を続投されるにあたり、どのような条件を出したのかにも関心が集まる。というのも、フランスの失業率は10%と高いままで、経済再生を最優先にかかげており、「3社連合よりルノー・ファースト」(関係者)を求めていることは明らかだ。「ルノー・ファースト」をのんでゴーン氏は続投したが、これが日産・三菱自の経営の新たな火種になる可能性が浮上している。

BusinessJournal編集部

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