また、加盟店のオーナーに経営コンサルティングを行うOFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー/店舗経営相談員)も同様の意見だ。
「まず行うのは、地域の居住者を細かく分析すること。若者が多い地域と高齢者が多い地域とでは、販売戦略が変わるのは当然のこと」(OFC)
弱気の既存店と強気の新規店――今、コンビニ業界ではそんな構図があるようだ。
「16年と比較して、17年の既存店の売上高は0.3%ほど減少しています」(谷澤氏)
倒産の原因別では、「販売不振」の44件(前年比29.4%増、前年34件)が最多で全体の86.2%を占めている。次いで、「既往のシワ寄せ」(赤字累積)が4件(同33.3%増、同3件)となっており、それらを合わせた「不況型倒産」は48件(構成比94.1%)で9割を超えている。
人手不足でオーナーが無休で働く
また、一方では、ディスカウントストアやインターネット通販など低価格で成長している他業態との競争も厳しさを増している。重量のある飲料水などは、アマゾンや楽天などのネット通販で購入するケースが増えているのだ。
「コンビニで買い物するときは、新商品が目当て。アベノミクスで株価上昇とはいえ、財布の紐がゆるんだとはいえず、お茶や酒は業務用スーパーや通販でまとめ買いしたほうが安く済む」(40代男性)
「消費者の実感として、コンビニの価格は安くありません。安さを求めるのであれば、ほかの業態を選ぶのは自然なことです。便利なので1日1回はコンビニに足を運ぶとしても、近隣にディスカウントストアや業務用スーパーがあれば、まとめ買いなどはそちらになるのではないでしょうか」(谷澤氏)
このような状況に加えて、人手不足とそれに伴う人件費上昇も追い打ちをかけている。高いブランド力や消費者の購買動向を反映したマーケティング戦略に長けた大手コンビニのフランチャイズチェーン(FC)加盟店でも倒産や休廃業・解散が増加しており、経営環境は厳しい。
あるコンビニのFCオーナーは言う。
「夕方になれば高校生がシフトに入るので、なんとかなります。昼間も主婦がいるので回せます。問題は深夜と早朝。その時間帯はオーナーやその家族がシフトに入ることが多い。それでも不足する場合は、派遣の人が入ります」(コンビニのFCオーナー)
ただし、派遣社員は単価が高いため、売り上げが減少するなかではあまり使いたくないのが本音だという。人手不足でパート・アルバイトの確保も厳しさを増しており、「簡単に時給を上げることはできないため、知り合いなどを通じて誰か来てほしい」(同)と切実な思いを吐露する。このオーナーは、縁故もいとわない方向で採用活動を進めているという。