店舗数が増えたことによる頭打ち感からか、コンビニエンスストア各社が客数減少に悩まされているが、それは2万店を突破した最大手のセブン-イレブンも例外ではない。2017年10月に既存店売上高が前年同月比0.5%減となったことで連続増収が62カ月でストップしており、客数は17年12月まで6カ月連続減少している。
しかし、セブンは守りに入ることなく攻めの姿勢を示しており、今後も出店計画の継続を表明している。そして、店舗数増加に欠かせないファクターとして、「店舗の魅力アップ=主力商品のテコ入れ」を考えているようだ。
年間10億杯のバカ売れコーヒーが初の全面刷新
その証左のひとつが、「セブンカフェ」のリニューアルである。13年1月に開始されたセブンカフェは、1店舗当たり1日平均130杯を売り上げ、18年2月期の販売数量が前期比約1割増の10億杯超となる見通しで、“レジ横コーヒー”として大ヒットしている。
そのセブンカフェが、3月上旬から初の全面刷新を行っている。「日本のコーヒーが変わります。」をキャッチコピーに「大人の深みとこだわり」をコンセプトに掲げ、「豆の使用量を1割増量」「焙煎方法を2種から3種に変更」「蒸らし時間をアップするなど抽出方法の変更」の3点を主に改良したのだ。
それにより、「専門店の淹れ方を再現」「華やかな香り、深いコク、芳しい風味のハーモニー」をアピールしている。
一方で、ホットコーヒー、アイスコーヒーともにレギュラーサイズ100円(税込み、以下同)という価格は据え置きだ。手軽に買える利便性に加えて、高いコストパフォーマンスも踏まえると、スターバックス コーヒーなどカフェチェーン店のコーヒーを凌駕する商品といえそうだ。ちなみに、スタバのドリップコーヒー(ショート)は302円。価格だけを見れば、セブンはスタバの3分の1だ。
刷新の効果を踏まえて、セブンは19年2月期に「年間11億杯」を目標に掲げている。ただし、今やコンビニ各社がレジ横コーヒーに力を入れている。ファミリーマートが展開する「ファミマカフェ」は17年10月に豆を2種から4種に増やす改良を行い、ローソンが展開する「マチカフェ」は約20種類を揃えるなどバリエーションの豊富さで差別化を図っている。大刷新を行いながらも価格は据え置いたセブンの姿勢からは、そんな競合を「ここで突き放したい」という意図も見え隠れする。
飲みやすくなった一方でカフェラテはいまいち?
今回のセブンカフェの刷新を、専門家はどう見ているのか。フードコーディネーター・フードアナリストとして活動するかたわら、コーヒーの淹れ方などの講習会を行っている大谷和絵氏に聞いた。
「まず前提として、このクオリティのコーヒーが100円で飲めるというのはすごいこと。ファミリーマートやローソンなどのエスプレッソタイプとは違い、1杯1杯ドリップした本格的な味わいのコーヒーをコンビニで楽しめる点は、かなりポイントが高いです。コンビニコーヒーのなかで、純喫茶やカフェなどの味に一番近いのはセブンで間違いないでしょう」(大谷氏)
さらに、大谷氏はファミマやローソンとセブンの戦略の違いについて言及する。