「もちろん、ファミリーマートやローソンのエスプレッソタイプのコーヒーにも『アレンジに向いている』といった利点があります。たとえば、ファミリーマートでは、コーヒーとカフェラテのほかにカフェモカやキャラメルラテも販売しています。これは、若年層などコーヒーがあまり得意でない人向けに打ち出しているのでしょう。
対して、セブンは昔ながらの喫茶店の味を意識したドリップ方式で、『コーヒー本来の味で勝負しよう』という気概が感じられます。おそらく、中高年男性をメインターゲットにしているのでしょう」(同)
消費者として気になるのは、味の変化だ。そこで、大谷氏に試飲してもらい、刷新によって変わった点などを評価してもらった。
「まずブラックコーヒーですが、豆の使用量が1割アップしたことでキリッとしたクリアな味わいになっており、飲みやすさを感じました。一方のカフェラテは、ミルクとコーヒーの主張が強くぶつかり合っており、さらにミルクのくどさが口の中に残る感覚もあったため、正直『いい方向への刷新』という印象は持ちませんでした。
『ブラックコーヒーが苦手なのでカフェラテを買う』という人も多いと思いますが、コーヒーの風味が強まった今回のリニューアルにより、カフェラテファンが離れていく可能性もありそうですね」(同)
コーヒーの風味を強くしたということは、「メインターゲットは中高年男性」という方針を、より鮮明にしたということだろうか。
「そう考えられますね。カフェラテはいまいちな味わいになってしまいましたが、それはあくまでコーヒー好きの消費者に向けた刷新をしたからであり、ファミリーマートやローソンとの差別化を強化したともいえるでしょう。
ローソンは店員がコーヒーを淹れて渡す方式ですが、これまで40秒かかっていた抽出時間を25秒に短縮する新型マシンを導入するなど、昨今の風潮を踏まえて“時短”を売りにしています。
一方、セブンは1杯1杯ドリップしているため少し時間がかかるイメージです。そういう意味では、現在の風潮とは逆をいっているのかもしれませんが、それはそれで、コーヒー本来の味にこだわるがゆえのチャレンジングな姿勢と評価することもできます」(同)
セブンカフェの刷新は客数増につながるのか?
では、セブンカフェの刷新は客数増の起爆剤となり得るのだろうか。