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顧問・相談役が院政の温床に
このように、実に細かく顧問・相談役の実態を公表しなければならなくなる。かなりの高齢で、対外的な活動もしていないのに報酬だけ受け取っていたら、株主総会で会社側は説明に窮する。
そのため、開示に二の足を踏む上場企業も出てくる可能性もある。社長や会長を辞めた後、顧問や相談役になるのは日本特有の慣行といえる。会社法に定めのない役職で、権限や責任ははっきりしない。それでいて経営の“先輩”としてトップ人事に介入するなど、院政の温床になる。
東芝では、相談役たちによるトップ人事をめぐるバトルが、迷走する最大の原因となった。
株主主権を謳うコーポレート・ガバナンスの強化で、株主に説明ができない相談役や顧問を廃止する企業がすでに出てきている。
17年中に、資生堂やJ・フロントリテイリング、日清紡ホールディングスが廃止を決めた。さらに18年に入って、日本たばこ産業、カゴメ、伊藤忠商事、パナソニックが廃止を発表した。
神戸製鋼所は社長経験者が就いていた相談役制度を廃止する。アルミ、銅製品部材などの品質改ざん問題で3月末に引責辞任する川崎博也会長兼社長は6月、新たに設ける役職の特任顧問に就く。相談役には報酬があったが、特任顧問の報酬はその都度判断するとしている。川崎特任顧問はどうなるのか。関心は高い。
株主総会で、どのくらいの企業が相談役・顧問の廃止の方針を打ち出すのか。そして総会後に東証に提出される有価証券報告書に、顧問・相談役について、どんな記載がなされるのか。
今年の株主総会の見どころのひとつである。
(文=編集部)
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