――「プチ勤務」が拡大するとともに、副業も広がっていくのでしょうか。
宇佐川 広がると思いますし、そのための環境も整います。今はクラウドソーシングにより、仕事の受発注も簡単になっています。弊社でも、ご利用は東京23区限定ではありますが、バイトアプリ「Job Quicker」の求職者版・採用担当者版をリリースしており、勤務日数が「1日だけ」のスポットバイト、かつ勤務日が当日~1週間以内の求人情報のみを掲載しています。こうしたマッチングシステムの利用が、今後はさらに増えていくでしょう。
ただ、複数の仕事を掛け持ちすること自体は昔からありました。たとえば、主婦が昼間はスーパーマーケットで働き、夕方に帰宅して食事をつくり、夜は居酒屋で働く……といったケースです。
「正社員」や「パート」の垣根は消えていく
――短時間就労と生産性向上が大きなテーマになりますね。
宇佐川 今はフルタイム以外にも短時間勤務や地域限定など、いろいろな働き方があり、その選択肢が増えていかないと働く人も増えていきません。これからは、正社員、派遣スタッフ、アルバイト・パートなどの垣根は薄れていき、「一人ひとりの生産性がどれだけ高いか」が重要視されていくことになるでしょう。それゆえ、企業側も働く側も努力が求められる時代になります。
――特に企業側は、かなりの変化が求められることになりそうです。
宇佐川 企業は、自分たちが持っている「当たり前」を崩すことが大切です。たとえば、「うちの会社は大変だから、男性しかやっていけない」「うちの会社では無理だろう」……それらの“常識”が可能性を狭めているのです。
また、現実を直視することも大切です。いくら「若い人が欲しい」と言っても、現実的には若い人が少ないのですから、採用の対象年齢を上げるしかありません。「ミスが増えるから年齢の高い人は嫌だ」というケースもありましたが、「社内の照明をLEDに替えて、明るくなったらミスが少なくなった」という事例もあります。
企業は、ハード面の整備や時間的制約をなくすといった努力を怠らないことが大切になります。
(構成=長井雄一朗/ライター)