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2023.06.21 10:08
2018.06.14 19:30
物延秀「サヨナラ島国にっぽん~クロスボーダーマーケターの考察~」
サヨナラ、「体育会系上司」。日大アメフト部問題は、日本企業によくある風景
だからこそ私は、槍玉に挙げられている日大の前監督や前コーチが“特別な存在”だとは思わない。彼らは、日本でわりとよく見られる“体育会系上司”たちだ。実際に、私が十数年にわたって従事する広告業界でも見られるし、私自身、幾度となくこうした体育会系上司の被害にあった若者たちの話を聞いたことがある。広告施策を一緒につくる協力会社に無理な依頼を押し付け、対応し切れずに問題が起きると、指示を出した上司ではなく指示に従っただけの若手が責任を追及されてクライアントへの謝罪に奔走するのだ。
健康な心身を育む「体育」発展の背景に軍国主義の影
日本において、こうしたマネジメントが見られる原因を考察していくと、実は、かつて軍国主義と密接に関わってきた「体育」の姿が浮かび上がる。
そもそも体育とは何か? 現在、文部科学省が定めている「学習指導要領」を読めば、「生きる上で必要な健康な心と体を育む」ことが目的の授業だとわかる。しかし、歴史を振り返ると体育には別の側面があった。
体育のルーツを調べてみると18世紀後期のドイツまで遡る。体育学者グーツムーツによって近代学校体育が確立され、ドイツからヨーロッパへと広がった。19世紀に入ると、市民革命の大義のもとにナポレオン率いるフランス軍がヨーロッパ全土に侵攻。その影響としてヨーロッパ各国においてナショナリズムが高まりを見せ、近代国家が成立するとともに、主権者である国民自ら「国を守る」必要が発生したため体育が重視されるようになった。ちなみに、かのヒトラーも体育を重視しており、ナチスの党綱領では体育・スポーツの義務化が定められていた。
そうした体育は、富国強兵が叫ばれていた19世紀の日本に持ち込まれ重宝された。日本に輸入された体育は、学校で剣道や柔道が必修科目となるなど、古くから日本に根付く武道との融合によって独自の進化を遂げる。19世紀後半には、「兵式体操」と呼ばれる軍隊式の体操が「普通体操」と並んで学校教育に取り入れられ、基本的に第二次世界大戦終了まで重視され続けていた。これは、本来軍人の育成を目的とするようなもので、肉体の鍛錬に加えて軍人としての精神鍛錬の性質を色濃く帯びた教育カリキュラムだったようだ。こうしてみると、体育はその成り立ちからそもそも軍隊との関わりが極めて強い。
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