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「高くなった」鳥貴族、深刻な客数減地獄…東京、焼き鳥居酒屋だらけで過酷な生き残り戦争

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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「高くなった」鳥貴族、深刻な客数減地獄…東京、焼き鳥居酒屋だらけで過酷な生き残り戦争の画像1鳥貴族の店舗(「Wikipedia」より)

 鳥貴族が失速している。

 5月の既存店売上高は前年同月比8.8%減と大幅な減収となった。客単価が同2.9%増えたものの、客数が同11.4%減と大幅な減少となった。5月は天候に恵まれず、ゴールデンウィークの連休が昨年よりも1日短かったという事情があるが、客数が2桁減少した飲食店の例はほとんどない。天候などの外部要因に加え、鳥貴族特有の問題が影響したため、客数が大きく減ったと考えるべきだろう。

 鳥貴族の不調は5月だけではない。既存店売上高は5月まで5カ月連続で前年を下回った。客単価は8カ月連続でプラスだったものの、客数は6カ月連続でマイナスとなっている。つまり、一時的な不調とはいえない。

 昨年10月1日に実施した28年ぶりの値上げが客離れにつながった。食材費や人件費などのコスト増に対応するため、全品280円から298円に引き上げている。これにより、それまで増加傾向にあった客数は、値上げ実施初月の10月に前年同月比7.0%減と前年を大きく下回ることとなった。

 ただ、10月は週末に2度台風が直撃するなどイレギュラー要素が多い月だったため、値上げだけの影響を分析することが難しく、また翌11月の客数が同0.5%増とわずかながらも前年を上回ったため、値上げの影響は限定的とする向きもあった。

 しかし、12月の客数は同2.1%減となり、そこから客離れが止まらず、先述したとおり6カ月連続で前年を下回ることとなった。こうしたことから、値上げが客離れにつながったとみるべきだろう。

 株価も、今年に入ってから下落傾向が続いている。昨年11月の客数が前年を上回ったと発表された時には、客離れは限定的と判断されて買いが殺到し株価は高騰。3000円台だった株価は年末年始には3900円台をつけるほどになった。だが、その後は客数の前年割れが続いたことが嫌気されて株価は下落が続き、6月下旬には2600円を割り込んだ。年末年始からは3割以上も下落した。

 鳥貴族は3月20日に開いた2018年7月期上期(17年8月〜18年1月)の決算説明会で、業績不振の要因について、関東での競争が激化したほか、特に家族連れ客や40代以上の客が減ったとの分析を示している。また、出店攻勢により自社競合が発生したことも影響したという。

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