ダサさからの脱却を模索
しまむらは、かつて郊外を中心に出店を重ねてきたこともあり、ファッション性や流行を求める客層ではなく、デイリーユースの服を求める層をターゲットとしてきた。そのため、それほどファッション性を重視してはこなかった。世間の一部においてしまむらに対し「田舎のダサい衣料品チェーン」というイメージがあったことは否定できない。
だが、2000年代後半から流行を取り入れた品ぞろえを強化し、ファッション性を重視するようになった。しまむらで購入した衣料品で全身をおしゃれにコーディネートする人を表す「しまラー」という言葉が広がったのは、この頃だ。かつてあった「ダサい」というイメージは薄れていった。
しかし、ダサさから完全に脱却することはできなかった。その象徴として、アニメなどとのコラボ商品への依存から脱却できていないことが挙げられる。
しまむらは10年代前半ごろから、アニメやキャラクターなどとコラボした商品の販売に力を入れるようになった。たとえば、13年にアニメ「美少女戦士セーラームーン」とコラボした衣料品を販売。以降、「秘密結社 鷹の爪」「おそ松さん」「ガールズ&パンツァー」といった人気アニメなどとのコラボ商品を次々と販売している。
コラボ商品を販売すること自体は、もちろん悪いことではない。アニメが好きな層を取り込むことができるし、おしゃれな商品であれば、それにより販売を拡大できることもあるだろう。ただ、一般的にコラボ商品は、コラボする対象に興味を持たない人からおしゃれと思われることは稀だ。むしろ、「ダサい」と思われる商品のほうが圧倒的に多い。
確かに、コラボ商品は一部の人には人気がある。それがわかる事例がある。しまむらは、購入商品の画像を投稿できる掲示板「みんなの『♯しまパト』活動報告」を自社のホームページで運営しているが、筆者が本稿執筆時に確認したところ、最新の投稿50件のうち半数近い23件がキャラクターものの商品だった。このことからキャラクターものの人気の高さがわかるが、裏を返せば、それ以外で魅力のある商品が乏しいともいえる。コラボ商品に依存している感が否めない。