「そんなことをすれば死闘になるのはわかっているので、過去の市長や多くの市議会議員たちはうまく手を組んできたのですが」
実際に連日報道される事態に発展してしまったが、Aさんは「(既得権益者側は)論点を見事にすり替え、市民、マスコミをまんまとのせて、全包囲網で攻勢をかけています」と観察している。
第2ラウンドは徳島市長へのリコール?
今年の阿波踊りは終了したばかりである。阿波おどり振興協会は、秋に自主的に総踊りを行うと発表した。阿波踊りという一大観光ブランドを毀損した遠藤市長の立場は弱い。騒動により、7日時点のチケット販売率は昨年同時点を9ポイント下回っており、その経済的損失を私は前回記事で「観光客の直接的出費分だけでも約25億円の減収」と推定した。
「リコールという言葉も出始めました。追い落としまであとすこしでしょうか。見事なものです」
Aさんは市長擁護派らしい。今回の成り行きに慨嘆している。たしかに、阿波おどり振興協会側から言えば、成り行きは市長側の敵失という事態で推移している。遠藤市長は62歳、地元出身で青山学院大学を卒業後、四国放送に入社して以来、ずっと同社のアナウンサーだった。16年3月の徳島市長選にあたり四国放送を退社して出馬、初当選を果たしている。政治の世界に入り2年目の今年、お膝元の最大観光行事である阿波踊りで大騒動を引き起こしてしまった。
市長は手に乗せてしまったこの“火の玉”をどう処理していくのか。総踊りの中止は、次の段階としていやおうなく徳島市の現体制を揺るがせていくかもしれない。メールの最後でAさんは、「誠実な光が、大きな黒い力で吹き消されそうになっているのを見るにしのびなく」と結んでいる。
以上紹介したAさんのメールの内容は、当然ながらAさんの私見であり、その真偽は定かではないが、もし「政争」だとする見方が徳島市民の間に一定数存在するのだとすれば、今回の阿波踊り騒動が契機となり、より大きな議論を呼ぶかもしれない。
(文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント)
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