一般社団法人日本仮想通貨交換業協会が18年4月に公表した「仮想通貨取引の現状報告」によれば、取引は17年12月の1カ月に集中していた。国内の仮想通貨の入金額は17年10月が575億円、11月は860億円だった。翌12月は1兆1714億円と急膨脹した。たった1カ月で11月の13.6倍の入金があったことになる。
仮想通貨を始めた人の多くが17年12月に集中していたということだ。ゲーム感覚で飛びついた人がかなりいた。しかし、18年1月以降、大暴落。売るに売れず、大半の人が大損をしたとみられている。
取引をしていた人は、20代と30代が全体の63%を占める。貯蓄が趣味といった人が多い若手が痛めつけられたとすると、“第2のバブル”は盛り上がりそうにない。
仮想通貨は「投資の世界で唯一、まともな機関投資家がかかわっていない」(金融アナリスト)と酷評されてきた。機関投資家はリスクが高すぎて腰が引けたままなのだ。米国の著名な投資家、ウォーレン・バフェット氏の持論は「仮想通貨は、それ自身が何か価値を生み出すものではない」である。「ビットコインは殺鼠剤の2乗のようなものだ」と厳しい見方をしていると伝わっている。マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツ氏も仮想通貨には否定的な見解を表明している。
マネックスGはババをつかんだ?
コインチェックを救済する“受け皿”候補として「メガバンクはみずほフィナンシャルグループ、証券は大和証券グループ本社とマネックスG、商社は伊藤忠商事、ITはヤフー、FXはマネーパートナーズグループ」との情報が金融界を駆け巡った。これらは、「金融庁が買収を打診したとされる会社名」(仮想通貨業者のトップ)といわれる。マネーパートナーズは大和証券グループ本社の持ち分法適用会社だ。大和証券グループ本社はネム流出に伴う訴訟リスクを怖れて二の足を踏んだとされる。
松本氏は、経営者というより生まれついてのマネートレーダーとの見方をされている。買収時には「今後2カ月をメドにコインチェックの全面営業再開を目指す」と述べていたが、実際はそれより遅れている。「ネット証券大手だが、最近では『負け組』」と呼ばれてきたマネックスGの賭けは、吉と出るのか、凶と出るのか――。
コインチェックの身売り直前の売上高営業利益率86%というのは、砂上の楼閣だったとの指摘がある。本人確認など、当然求められる点にコストをかけないできたため、これほど“べらぼうな”利益が出たのだ。マネーロンダリング対策など、まともな対策を行っていれば、コストは膨らむ。高い利益率を期待して参入を表明した企業は、軒並み戦略の変更を迫られている。
(文=編集部)