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山崎将志「AIとノー残業時代の働き方」

日本の「おもてなし」は押し付けがましい? 欧米で普通になされる本当のホスピタリティ

文=山崎将志/ビジネスコンサルタント

 このアプローチは日本人にはないなぁ、と思いました。「私はこのやり方が一番得意だしおいしいと信じている。さあ、どうだ!」と特に好みも聞かずに料理を出す、というのが日本人的おもてなしだと思います。そうすると、たとえば「究極のふわとろ卵」みたいなものが出てきたりします。しかし、そこでは「相手は半熟卵が好きかどうか?」という点にはほとんど無頓着です。

あなた好みの飲み物をつくるロンドンのスタバ

 少なくとも欧米では、高度にマニュアル化されているチェーンオペレーションのビジネスであっても、マニュアルを外れたリクエストを受けた時には、個別客の個別の好みが優先されます。これが彼らのホスピタリティの立脚点です。

 たとえば、私が訪れたロンドンのスターバックスには、出来上がったコーヒーを出すカウンターの上に、こんなことが堂々と黒板に書かれていたことがあります。

We promise we will make your coffee just the way you like it.
(あなたのお好み通りのコーヒーをお出しすることを私たちは約束します)

 さらに、その下にカッコ書きでこう付け加えられています。

And please don’t be shy, just let us know if it’s not and we’ll make it again for you. After all, it’s personal.
(もし、お気に召さない場合は新しいものをつくり直しますので、遠慮なくおっしゃってください。お客様のお好みを尊重いたします)

 アメリカのマクドナルドに行って、ポテトにつけたいからバーベキューソースが欲しいと言うと快く出してくれますが、日本のマクドナルドでは、「ナゲットを注文しないと出せない」と言われてしまいます。

 世界ブランドでも日本人が経営すると、マニュアル通りにオペレーションすることが重視され、カスタマイズの視点が抜け落ちてしまうのです。

山崎将志/ビジネスコンサルタント

山崎将志/ビジネスコンサルタント

ビジネスコンサルタント。1971年愛知県生まれ。1994年東京大学経済学部経営学科卒業。同年アクセンチュア入社。2003年独立。コンサルティング事業と並行して、数社のベンチャー事業開発・運営に携わる。主な著書に『残念な人の思考法』『残念な人の仕事の習慣』『社長のテスト』などがあり、累計発行部数は100万部を超える。

2016年よりNHKラジオ第2『ラジオ仕事学のすすめ』講師を務める。


最新刊は『儲かる仕組みの思考法』(日本実業出版社)

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