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アパレル大手ワールド、上場廃止失敗か…巨額負債解消のため再上場は本末転倒ではないか

文=編集部
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 旧ワールドは、それまで無借金会社だったが、MBOによって“大借金会社”になってしまった。ワールドは今なお、1151億円という多額の有利子負債(18年3月末時点)と債務保証がある。さらに、上場廃止後、優先株発行などにより資金を調達した。買い入れ消却を進めてきたが、まだ多額の優先株が残っている。優先株の1株当たり配当金は19年3月期まで年8円だが、20年3月期以降は同18円にハネ上がる。

 巨額の有利子負債、債務保証、優先株の配当負担。これがMBOの“負の遺産”として残った。

 ワールドは05年の上場廃止について「消費者ニーズの多様化など、業界を取り巻く環境が大きく変わるなか、短期的な株主利益に左右されずに中長期的な戦略を展開する必要があった」と説明した。

赤字決算を「黒字」と発表できたカラクリ

 ワールドは1959年に畑崎廣敏氏が木口衛氏とともに創立。高度経済成長の波に乗って日本有数のアパレルメーカーとなった。畑崎氏は97年、60歳の若さで社長を退き、その後、投資家に転身。数々の仕手戦に登場し、有力仕手筋として株式市場の話題をさらってきた。ワールドの経営は、義弟の寺井秀蔵氏が引き継いだ。

 寺井氏は郊外のショッピングセンターの拡大に伴いテナントでの出店を増やしたが、流行をとらえ低価格で販売するユニクロなどとの競争が激化。MBOによる巨額の有利子負債が重くのしかかり、13年3月期は7億円、14年同期は16億円の赤字(いずれも日本会計基準)と、2期連続の最終赤字に陥った。

 そこでワールドの再建に招かれたのが“プロ経営者”の上山健二氏である。同氏は88年、東京大学経済学部を卒業し、住友銀行(現三井住友銀行)に入行。92年、米ミシガン大学ビジネススクールに留学、MBA(経営学修士)を取得。帰国後は、住銀の企画部に配属され、MOF担(大蔵省担当)となるなど、エリートコースを歩んできた。

 だが、住銀のような大きな組織では、個人の才能を発揮するのに限界がある。経営者に近いところで決断する仕事をしたくなった。そんな時、中古車買い取りのジャック(現カーチスホールディングス)のオーナーに誘われて、ジャックの副社長に転身。95年5月、30歳の時だ。以来、企業再生人生を歩むことになる。

 2001年にジャックの社長に就任し、02年には更生会社のスーパー、長崎屋に転職。03年、事業管財人代理兼社長に就任。06年、12年前倒しで長崎屋の更生手続きを終結させた。その後、英会話教室GABAの社長、飲食店情報サイトぐるなび副社長を歴任した。

 その手腕を見込まれ13年にワールドへ招かれ、15年4月にワールドの社長に就任。上山氏は、ワールドでは創業家以外からの初めての社長となった。その後、意表を突く記者発表を連発した。

 一発目のサプライズは、決算説明会だった。赤字決算のはずが黒字決算と発表。15年3月期の最終利益は、なんと45億円の黒字となった。さらに14年3月期に遡って、16億円の最終赤字を20億円の黒字とした。

BusinessJournal編集部

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