後手に回った政府の対応
9月6日未明に北海道胆振東部地方を襲った震度7の地震によって、北海道は全域にわたる295万世帯が停電に見舞われた。9月8日現在、電力供給量は350万キロワットまで回復したが、全需要の380万キロワットは満たせず、全域で2割の節電が要請されている。場合によっては計画停電が実施されるという。
大規模停電の原因は、北海道の全需要の43%にも及ぶ165万キロワットの発電を行う苫東厚真火力発電所(石炭)が地震で停止したことによる。そのために周波数の維持が困難となり、北海道のすべての発電所が次から次へと停止したのだった。これほど広域な停電は想定外のことだというが、政府の対応は後手に回っている。なぜか。
大規模発電による電力供給システムの破綻
現在の電力供給は、日本に限らず大規模発電所を建設し、そこから広域に電力を供給する集中型電力供給方式である。だが、今回の北海道全域の停電は、この方式の弱点が現れてしまった。
陸地でつながるヨーロッパでは、たとえ1カ所の発電所が停止したとしても、各国から電力の緊急供給が可能である。しかし、島国である日本では難しい。本州からの送電を行ったが、うまくいかなかったのだ。集中型電力供給方式は、もともと災害大国の日本には無理がある。近々でも大阪地域の地震による停電や、台風21号に襲われた関西地方の停電と、次から次へと電力供給に問題が起きている。災害が多い日本では集中型発電供給方式はもはや破綻している。
今後、再生可能エネルギーへの転換が必須であるが、これは地産地消方式が基本である。地域の電力を賄う小さな発電所が、日本列島を網の目のように包み込む分散型スマートグリッド方式だ。この方式は、災害大国の日本に向いた発電システムではないだろうか。
自然災害世界17位の日本
「日本は自然災害リスクが途上国も含めて世界17位と高いのです。先進国のなかでの順位となると第1位。日本が災害大国と呼ばれるゆえんですが、とんでもなく自然災害の多い国なんです」
東北大学の災害科学国際研究所で震災の復旧支援や南海トラフの防災対策の研究をしている柴山明寛准教授は、このように指摘する。日本EVクラブが主催した9月1、2日の「ジャパンEVラリー白馬」のシンポジウムでのことであった。それからわずか5日後に、平成30年北海道胆振東部地震が発生したのだった。
2018年は世界的に高温に見舞われ、台風(ハリケーン)や集中豪雨による災害に多くの地域が見舞われた。気候変動を研究する国連のIPCCは、地球温暖化による影響を無視しえないという。もちろん、日本列島も昨年に続き、大規模な台風、豪雨災害に見舞われたが、そればかりではない。日本は火山列島であり、地震列島である。まさに先進国で第1位の災害大国なのである。電力供給にも徹底的な安全対策が求められている。