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舘内端「クルマの危機と未来」

EV、災害時に家の「電源」として利用…三菱アウトランダーPHEVなら4日間持つ

文=舘内端/自動車評論家
EV、災害時に家の「電源」として利用…三菱アウトランダーPHEVなら4日間持つの画像1三菱自動車のアウトランダーPHEV(「Wikipedia」より/DJ5F-XDTB)

後手に回った政府の対応

 9月6日未明に北海道胆振東部地方を襲った震度7の地震によって、北海道は全域にわたる295万世帯が停電に見舞われた。9月8日現在、電力供給量は350万キロワットまで回復したが、全需要の380万キロワットは満たせず、全域で2割の節電が要請されている。場合によっては計画停電が実施されるという。

 大規模停電の原因は、北海道の全需要の43%にも及ぶ165万キロワットの発電を行う苫東厚真火力発電所(石炭)が地震で停止したことによる。そのために周波数の維持が困難となり、北海道のすべての発電所が次から次へと停止したのだった。これほど広域な停電は想定外のことだというが、政府の対応は後手に回っている。なぜか。

大規模発電による電力供給システムの破綻

 現在の電力供給は、日本に限らず大規模発電所を建設し、そこから広域に電力を供給する集中型電力供給方式である。だが、今回の北海道全域の停電は、この方式の弱点が現れてしまった。

 陸地でつながるヨーロッパでは、たとえ1カ所の発電所が停止したとしても、各国から電力の緊急供給が可能である。しかし、島国である日本では難しい。本州からの送電を行ったが、うまくいかなかったのだ。集中型電力供給方式は、もともと災害大国の日本には無理がある。近々でも大阪地域の地震による停電や、台風21号に襲われた関西地方の停電と、次から次へと電力供給に問題が起きている。災害が多い日本では集中型発電供給方式はもはや破綻している。

 今後、再生可能エネルギーへの転換が必須であるが、これは地産地消方式が基本である。地域の電力を賄う小さな発電所が、日本列島を網の目のように包み込む分散型スマートグリッド方式だ。この方式は、災害大国の日本に向いた発電システムではないだろうか。

自然災害世界17位の日本

「日本は自然災害リスクが途上国も含めて世界17位と高いのです。先進国のなかでの順位となると第1位。日本が災害大国と呼ばれるゆえんですが、とんでもなく自然災害の多い国なんです」

 東北大学の災害科学国際研究所で震災の復旧支援や南海トラフの防災対策の研究をしている柴山明寛准教授は、このように指摘する。日本EVクラブが主催した9月1、2日の「ジャパンEVラリー白馬」のシンポジウムでのことであった。それからわずか5日後に、平成30年北海道胆振東部地震が発生したのだった。

 2018年は世界的に高温に見舞われ、台風(ハリケーン)や集中豪雨による災害に多くの地域が見舞われた。気候変動を研究する国連のIPCCは、地球温暖化による影響を無視しえないという。もちろん、日本列島も昨年に続き、大規模な台風、豪雨災害に見舞われたが、そればかりではない。日本は火山列島であり、地震列島である。まさに先進国で第1位の災害大国なのである。電力供給にも徹底的な安全対策が求められている。

舘内端/自動車評論家

舘内端/自動車評論家

1947年、群馬県に生まれ、日本大学理工学部卒業。東大宇宙航空研究所勤務の後、レーシングカーの設計に携わる。
現在は、テクノロジーと文化の両面から車を論じることができる自動車評論家として活躍。「ビジネスジャーナル(web)」等、連載多数。
94年に市民団体の日本EVクラブを設立。エコカーの普及を図る。その活動に対して、98年に環境大臣から表彰を受ける。
2009年にミラEV(日本EVクラブ製作)で東京〜大阪555.6kmを途中無充電で走行。電気自動車1充電航続距離世界最長記録を達成した(ギネス世界記録認定)。
10年5月、ミラEVにて1充電航続距離1003.184kmを走行(テストコース)、世界記録を更新した(ギネス世界記録認定)。
EVに25年関わった経験を持つ唯一人の自動車評論家。著書は、「トヨタの危機」宝島社、「すべての自動車人へ」双葉社、「800馬力のエコロジー」ソニー・マガジンズ など。
23年度から山形の「電動モビリティシステム専門職大学」(新設予定)の准教授として就任予定。
日本EVクラブ

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