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森精機、世界の発展を牽引する企業の秘密…確実に未来を見通す経営

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 加えて森精機は買収も重視してきた。1990年代、わが国のバブル絶頂期、森精機はOKK(大阪機工)の株を買い占め、一時は発行済み株式の13%を手に入れた。しかしOKKとの経営統合の交渉は難航した。1992年3月期、森精機はバブル崩壊による株価急落を受けて10億円程度の評価損を計上した。

 その後の森精機は、失敗を悔やんでリスクテイクを避けるのではなく、OKK買収失敗の教訓を経営に生かしてきた。そう考える理由は、わが国のバブル崩壊度、森精機が安値圏での買収を複数行ってきたからだ。2001年には民事再生法を申請した池貝から太陽工機の経営権を取得した。その後も経営破たんした日立精機の工作機械事業を取得するなど、森精機は生産能力の強化に努めた。2009年、森精機は独ギルデマイスター(DMG)社と資本業務提携を締結し、2013年には社名をDMG森精機に変えた。

中国での需要取り込みを目指す森精機

 
 買収の目的は、中国を中心とする世界的な工作機械需要の拡大に対応するためだ。特に、DMGとの経営統合は、森精機が世界一の工作機械メーカーの座を手に入れ、さらなる成長を目指すために不可欠だった。

 2025年までに中国は世界の製造強国になることを目指している。具体的には、IoTやAI(人工知能)などを用いた生産の自動化や省人化が重視され、“第4次産業革命”と呼ばれるほど、IT先端技術の活用は世界的な注目を集めている。加えて、中国では大気汚染の軽減に向けて電気自動車(EV)の開発が急がれている。いずれの分野でも、より多くの高度な工作機械が必要とされていくだろう。

 その背景にある要因を考えると、まず、中国では生産年齢人口(一般的には15~64歳、中国の定義では15~59歳)が減少している。そのなかで、中国が世界の覇権を目指すためには、省人化などを進めて生産性を向上させなければならない。それは森精機が手掛けるオートメーションシステムへの需要を拡大させる要因となる。

 加えて、高度成長期のわが国が経験したように、環境問題は国民の生命に無視できない影響を与える。環境負荷の低い自動車へのニーズは上昇するだろう。プラグインハイブリッド車の普及に加え、中国はEVの普及を真剣に目指しており、その結果、EV開発の強化は世界的なトレンドになっている。この変化が止まるとは考えづらい。

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