選択肢の増加の例としては、たとえばユニクロの姉妹ブランド「GU(ジーユー)」が挙げられる。
GUは06年に誕生し、しまむらと同様に低価格のカジュアル衣料を販売している。近年急速に店舗数を伸ばしてきており、現在国内に約390店を展開するまでに成長した。09年に「990円ジーンズ」を販売して注目を浴び、近年では15年に裾が広いパンツ「ガウチョパンツ」が大ヒットして話題となった。16年にはスカートのようなパンツ「スカンツ」も大ヒットしている。
運営会社のファーストリテイリングによると、17年8月期のGU事業の売上高は前期比6.0%増の1991億円だった。業績は堅調に推移している。
衣料品市場は縮小傾向にあるが、一方でGUのように勢いのある衣料品店も少なくない。それにより消費者の選択肢は増えており、しまむらの商品の魅力は相対的に低下していったといえるだろう。
しまむらはドン・キホーテを目指すべき
衣料品を手軽に買える環境が整っていることも大きい。その代表格はインターネット通販だ。
経済産業省によると、ネットを介してアパレルが売買される比率は、17年は11%超だった。この比率は年々高まっている。このことからもわかるが、アパレル各社は近年、ネット通販に力を入れている。しかし、しまむらはネット通販に関しては遅れをとっている。自前の通販サイトを持っておらず、今年7月に衣料品通販サイト「ZOZOTOWN」に初となるオンラインショップを出店し、ようやくネット通販を始めた。
このように、しまむらがネット通販の分野でもたついている間に、消費者はネット通販でより魅力的な商品をしまむら以外で買うようになった。そして、次第にしまむら離れが起きるようになったと考えられる。
売り場の魅力低下も大きな問題だ。しまむらは16年から売り場改革を始め、什器を低くしたりゴンドラをなくすなどして、歩きやすく見やすいレイアウトへの変更を推し進めてきた。これにより売り場の回遊性が高まったが、一方で商品の陳列量が減ってしまい、しまむらの売りである「宝探し」の要素が薄れてしまった。その結果、ワクワク感のないつまらない売り場となってしまい、販売が振るわなくなったと考えられる。
業種が異なるが、しまむらはディスカウントストア「ドン・キホーテ」のような売り場を目指すべきではないだろうか。