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日産・ルノー資本問題、キーマンは“豊田氏”…ゴーン逮捕、他自動車メーカーに深刻な影響

文=河村靖史/ジャーナリスト
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 日産がとくに懸念しているのが、ルノーの筆頭株主であるフランス政府のアライアンスへの介入だ。フランス政府が自国の経済回復や雇用確保に向けて、ルノーと日産の経営統合を求めているためだ。フランス政府は今年2月、ルノーのCEOとしての任期を2022年まで延長するのを認める代わりに、日産とルノーの経営統合を実現するという「密約」をゴーン氏と交わしたといわれる。このため、ゴーン氏が逮捕・勾留されたのを機に、日産の独立心が高まり、資本構成の見直しに動くことをフランス政府は強く警戒する。仮に日産がルノーへの出資比率を現在の15%から25%に引き上げると、ルノーが保有する日産の株式の議決権がなくなる。そうなるとフランス政府はこれまでのようにルノーを通じて日産をコントロールできなくなる。

 11月30日にブエノスアイレスで開かれた20カ国・地域首脳会議(G20)で、フランスのマクロン大統領は安倍晋三首相と会談し、「アライアンスを安定させることが重要」との考えを伝えた。日本政府側は「日産は民間企業」との立場で、介入しない方針を明確にしており、両政府の認識のズレも表面化している。

 フランスのルメール経済・財務相は、フランスのメディアに対して、世耕弘成経済産業大臣との会合でアライアンスのガバナンス体制について「現状通りとすることで、日本側と合意した」と述べた。しかし、世耕大臣は閣議後の記者会見で「日産のガバナンスに関して何か他国と約束をするというようなことはまったくない」と明確に否定するという騒動も起きた。日産をルノーの傘下に置いてフランス国内経済のために活用したいフランス政府は今後も日産の独立を阻止するため、政治問題に発展させることも視野に入れる。

 ここでキーとなる人物が日産の社外取締役となっている豊田正和氏だ。豊田氏は経済産業省出身で、ルノーと資本提携してから官僚の天下りを基本的に拒否していた日産が2018年6月に久々に受け入れた官僚OBだ。

「ゴーン氏を解任するためのクーデターを主導してきた日産の西川社長が、フランス政府の介入があったとき、日本政府に後ろ盾になってもらうため天下りを受け入れたといわれている。そう考えると、西川社長は今年の春ごろからクーデターを考えていたということになる」(全国紙の記者)

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