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料理の味を決める最後の鍵は、つくり手の愛情ということなのだろう。ともすると、グルメブームに浮かれている私たちが忘れかけている不変の法則が、ヨーロッパを代表する豪華列車では変わらずに息づいていたということになる。
寝台客車を移設した「夢空間」
10年に及ぶ海外での経験を携えて帰国した曽村さんは、2012年2月に東京・木場にアタゴールをオープンした。
アタゴールの最大の特徴は、本物の客車1両が設置され、客席の一部として活用されている点だ。その名も、「夢空間」。
アタゴールの外観
夢空間の元の姿は、JR東日本が新時代の豪華寝台列車の姿を模索するため1989年に3両を試作した車両だ。実際の営業運転にも使用され、上野~札幌間を走る寝台特急「北斗星」などに増結されて走り、北海道へのスキー客などを運んだ。「日本版オリエント急行」ともうたわれた3両の客車は「ラウンジカー」「ダイニングカー」「デラックススリーパー」からなり、どれも当時の最高水準の技術で製作されたぜいたくな車両だった。運転される機会があまりなく、料金もそれなりとなることから、“乗りたくても乗ることができない”憧れの存在となり、2008年には運転が終了した。
運転終了後の行く末が案じられた3両であったが、「ラウンジカー」と「ダイニングカー」は埼玉県三郷市のショッピングセンターに、そして「デラックススリーパー」は曽村さんに引き取られて、第二の人生を歩むことになった。
新しいお店に置かれた寝台客車は、かつてのオリエント急行のシェフにとって格好のシンボルといえるだろう。キッチン、ダイニングルームに隣接して設置された夢空間の中には3つの個室があり、それぞれティースペースとして利用されている。
客車の個室を再利用したティースペース
室内は現役時代の優雅な雰囲気がそのまま残されており、当時の姿を写した写真も飾られている。個室で食事するひとときは、夢空間の現役時代にも、そして本家のオリエント急行にも決してひけを取らない芳醇な時間となることだろう。この車両が動くことはないが、曽村さんの心が尽くされたメニューを楽しむことができるのだから。
室内は現役時代の優雅な雰囲気がそのまま残されており、当時の姿を写した写真も飾られている。個室で食事するひとときは、夢空間の現役時代にも、そして本家のオリエント急行にも決してひけを取らない芳醇な時間となることだろう。この車両が動くことはないが、曽村さんの心が尽くされたメニューを楽しむことができるのだから。
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