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本物の豪華寝台列車でオリエント急行のフランス料理を楽しめる、東京・木場のレストラン!

文=池口英司/鉄道ライター、カメラマン
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ヨーロッパの味覚と和の器が奏でるハーモニー

 もちろん、アタゴールのダイニングルームで提供される料理も、曽村さんのヨーロッパでの経験が生かされた本格的なものだ。季節ごとの食材を生かし、まるでパレットの上に広げられた絵の具のような豊かな色彩を楽しめる料理は、まさに現代の先端をいくものだ。

本物の豪華寝台列車でオリエント急行のフランス料理を楽しめる、東京・木場のレストラン!の画像5ランチBのメイン料理(ムール貝)
 そして、アタゴールでは料理を引き立てる器にも注目してほしい。豊かな風合いが湛えられた器には、日本の四季の季節感が映し出されている。これは、木場にもほど近い深川の職人さんの家で育ったという曽村さんならではの目利きが生かされたものだ。「良いものに出会うと、つい、無理をしても手に入れたくなってしまうのです」と、曽村さんは自身と器との出会いを笑いながら語るが、本格的なヨーロッパの味覚と和の器が奏でるハーモニーもアタゴールの大きな魅力となっている。本物の豪華寝台列車でオリエント急行のフランス料理を楽しめる、東京・木場のレストラン!の画像6
「私にとって最高の料理とは何か? それは、食材を用意するためにかけられた費用の多寡でも、食材の希少性でもない。手に入れることができた食材を使って、気持ちを込めて美味しい料理をつくる。それを食べに来てくれたお客様は、自分の予算の中で見合ったものを注文し、自分の時間を使って楽しんでほしい。そして、そのときの味を、いつまでも覚えておいてほしい。それが、私にとって最高の料理なのです」(曽村さん)

 アタゴールでは、ランチ、ディナーとも季節に合わせてさまざまなメニューが用意されているが、希望があればなんでも伝えてほしいという。やり取りのなかで、本場のオリエント急行で培われたシェフのエスプリを楽しんでみるのも、大きな楽しみとなるかもしれない。

 今、日本全国でフランス料理店のオープンが続いている。また、鉄道の世界では、かつての食堂車を彷彿させる車両が登場し、列車の中で食事をとることの楽しさがフューチャーされている。一昔前には考えられなかった、素晴らしい時代が訪れたのだ。しかしその一方で、見た目やスタイルばかりが重視され、ともすると一番大切なはずの「味」が見失われがちになっているのが、フードビジネスの今日でもあるようにも見受けられる。

 私たちの毎日をさらに素晴らしいものに仕立て上げてくれる「料理」とは、何なのか? 本物の味を楽しみながら、今一度、思いを馳せてみるのも悪くない。
(文=池口英司/鉄道ライター、カメラマン)

●「アタゴール・オリエント・エクスプレス」
東京都江東区木場3-19-8 東京メトロ東西線木場駅徒歩5分
電話:03-5809-9799
ランチ 11:30~13:30
ディナー 17:30~21:30
火曜定休

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