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ちなみに、この「マダム・ヴァルタ」は盗品だったそうです。しかし、この有名な画家の盗品を持ち込めたのには、理由があるのです。骨董品や美術品の本場であるイギリスには、国際刑事警察機構(ICPO)や美術館の協力で作成された盗難美術品のデータベースがあり、盗難品の約27万点が登録されており、ルノワールだけでも、約400点が盗品登録されているそうです。しかし、「マダム・ヴァルタ」は日本在住の方の個人所蔵で、盗難に遭ったことが登録されていなかったのです。そのため、サザビーズの厳しい盗難品チェックをすり抜け、“掘り出しもの”として、堂々とオークションにかけられて落札されたのです。
ちなみに、ストラディヴァリ父子製作の現存するヴァイオリン520挺、ヴィオラ8挺、チェロ63挺も、絵画と同様に専門のカタログに掲載されています。それだけでなく一般の方が簡単に閲覧できる「Wikipedia」であっても“ストラディヴァリウス”と検索してみると、特に有名な楽器がリストアップされており、それぞれの楽器の愛称から、製作年、歴史、そして現在使用している演奏家の個人名まで出てきます。日本語版では日本人ソリスト名も掲載されているので、実際にストラディヴァリウスの音色を聴いてみたい方は、これらのソリストのコンサートに行けば聴くことができるでしょう。
盗まれた3億8000万円のチェロ
チェロの名器に、愛称「ジェネラル・キッド」があります。所蔵はロサンゼルス・フィルハーモニック管弦楽団と書かれていますが、個人の大金持ちがロサンゼルス・フィルに寄贈したストラディヴァリウスのヴァイオリン3挺、チェロ1挺のうちのひとつです。それらは首席コンサートマスターの2人、2番ヴァイオリン首席、チェロの首席が代々使用しているのですが、「Wikipedia」を見るとジェネラル・キッドの備考欄に「2004年に盗難、後日見つけられた」と書かれています。実は、僕がこのオーケストラの副指揮者を務めていた最後の年、なんとこのチェロが盗まれる事件が起こったのです。
事件は、その年の4月に起こりました。当時のロサンゼルス・タイムズ紙を読みながら記憶をたどってみると、試用期間中の新人首席チェロ奏者が、350万ドル(当時のレートで3億8000万円)のストラディヴァリウスを貸与され、弾いていました。
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