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中沢光昭「路地裏の経営雑学」

流行りの「副業で会社を買う」を実行したら、こんなに疲弊…不動産投資のほうが全然マシ

文=中沢光昭/経営コンサルタント、会社オーナー
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流行りの「副業で会社を買う」を実行したら、こんなに疲弊…不動産投資のほうが全然マシの画像1「Gettyimages」より

 前回、小さな会社を売却する経験談を通じて、会社員にとっては会社を買い取るということがいかにハードルが高いかを説明しました。さりとて、昨今の経済情勢より、何も考えずに会社員としての仕事だけに集中していていいのだろうかと不安に思う人は多いでしょう。そこで今回は、会社買収を考えている人に向けて、不動産投資との比較について解説したいと思います。

不動産は文字通り動かないので、おとなしい

 レアケースだと思いますが、私は会社員時代に副業として先に企業投資を始め、その後に不動産投資を始めました。両方を経験する場合、一般的には順序が逆ではないかと思います。そんな私からすると、副業や脱サラのきっかけとして企業買収・投資をすることはなかなかに考えにくいです。

 当時実感したのは、奪われる精神的労力で考えると、企業への投資に比べたら不動産投資は格段に軽いということです。起こりうるリスクの種類がかなり限られていることや、出ていくお金が一定で見えていることが大きな違いです。また、何か事件が起きた場合に、もちろん入居者にご迷惑をおかけすることはありますが、建物全体が倒壊したり火事が起きたりするようなことでもない限りは、少し生活に不便を強いたことのお詫びのお金を負担すれば解決することばかりです。

 ところが、企業への投資では、何かトラブルが起きた場合に関わる人数や解決すべき問題は格段に多いです。一つ対処を間違えると、騒ぎが容赦なく大きくなったりもします。

 会社員をしながら別の会社を保有していた頃は、会議中や昼食中に「お仕事中にすみません。月末の資金が足りないです……」などと書かれたLINEやメールが入ったりすると、一気に気分が落ち込みます。気を取り直して、できるだけ早く会社の外に出たり空いている会議室に駆け込んで、現場に電話して議論します。あっさりと解決した場合であっても、一度疲れが発生したり気持ちが切り替わってしまうと、そこから本業に戻るのは大変です。

 お金の問題だけではありません。「なぜ、そうしなかったのか」「今後はどうするか」ということを投資先企業の社員にきっちり腹落ちしてもらわないと、いつまた再発するかとビクビクしなければなりません。後日、きちんとやっているかを確認しなければなりません。人間はそう簡単には変わらないからです。自分が社長やリーダーとして現場にいれば、迅速な対応ができますが、重い内容に関するやり取りは夜や休日になるので、徐々に疲れが溜まっていきます。

中沢光昭/株式会社リヴァイタライゼーション代表

中沢光昭/株式会社リヴァイタライゼーション代表

企業再生コンサルタント兼プロ経営者。
東京大学大学院工学研究科を修了後、経営コンサルティング会社、投資ファンドで落下傘経営者としての企業再生に従事したのち、上場企業子会社代表を経て独立。雇われ経営者としてのべ15期以上全うし、業績を悪化させたのは1期のみ。
事業承継問題を抱えた事業会社を譲受け保有しつつ、企業再生とM&Aをメインとしたコンサルティングおよび課題内容・必要に応じて半常勤による直接運営・雇われ経営者も行う。シードステージのベンチャー企業への出資も行う。
株式会社リヴァイタライゼーション 代表・中沢光昭のプロフィール

Twitter:@mitsu_nakazawa

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