若者、風呂上がりは“ビールよりアイス”に…「エッセルスーパーカップ」、圧倒的シェアの秘密
夏アイスは「暑さしのぎ」や「気分転換」
これに対して、これからの季節のアイスは「暑さしのぎ」の要素も増える。たとえば、天気の良い日の外出から帰宅した直後や、入浴後といった時だ。
特に近年、若い世代は「風呂上がりに、ビールではなくアイスを好む」という話も聞く。昨年、近畿地方のメーカー取材時に、そのことを伝えたところ、「ウチの20代の息子はまさにそうだ」(50代の部長)と話していた。
気温が上がると、後述する「氷菓」のような氷系も売れる。「最高気温が25度を超えるとアイスクリームよりも氷菓が売れる」との説も耳にするが、取材した限りでは完全な確証が取れていない。ただし、そうした傾向はあるだろう。夏の帰宅後に、冷凍庫から氷系を出して、一瞬、額に当ててから食べる人もいる。
「エッセルスーパーカップ」を筆頭に、バニラアイスが強い
家庭用アイスブランドの「売り上げベスト10」は次のとおりだ。
1位…「明治エッセルスーパーカップ」(明治)245億円(取引制度の変更数値。前回算出方法では265億円)
2位…「パピコ」(江崎グリコ)172億円
3位…「パルム」(森永乳業)171億円
4位…「モナカジャンボシリーズ」(森永製菓)170億円
5位…「ガリガリ君」(赤城乳業)147億円
6位…「ピノ」(森永乳業)137億円
7位…「クーリッシュ」(ロッテ)108億円
8位…「ジャイアントコーン」(江崎グリコ)104億円
9位…「爽」(ロッテ)97億円
10位…「雪見だいふく」(ロッテ)86億円
※いずれも2017年度(2017年4月~2018年3月):「アイスクリームプレス社」の推計数値。
一度は食べたことのあるブランドも多いだろう。ちなみに、首位の「明治エッセルスーパーカップ」の人気フレーバーベスト3は「超バニラ」「チョコクッキー」「抹茶」の順だが、「超バニラ」は「チョコクッキー」の約4倍も売れるという。ベスト10ブランドもバニラ系が多い。
「ラクトアイス」も「アイスミルク」も楽しむ
実は“アイス”商品は、日本では乳成分や乳脂肪分によって次の4種類に分けられる。
(1)「アイスクリーム」(乳成分15%以上、うち乳脂肪分8%以上)
(2)「アイスミルク」(乳成分10%以上、乳脂肪分3%以上)
(3)「ラクトアイス」(乳成分3%以上、乳脂肪分は問わず)
(4)「氷菓」(上記以外)
上位ブランドのうち、「明治エッセルスーパーカップ」と「パピコ」は(3)のラクトアイスだ。「パルム」は(1)のアイスクリームに属し、「チョコモナカジャンボ」は(2)のアイスミルク。単価は低いが年間販売本数は圧倒的に多い「ガリガリ君」(赤城乳業)は、(4)の氷菓となっている。
近年の調査データでは(1)~(4)それぞれが伸長傾向にある。つまり、消費者は種類別を気にせずアイスを楽しむ。これも消費者心理として興味深い。