まず、みのの次男が勤務している日本テレビだが、「ひっじょうにキビシーッ!」のギャグでも知られるコメディアン・財津一郎の長男が『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』などでプロデューサーを担当。過去には石原慎太郎・前東京都知事の長男で、現環境相兼内閣府特命担当相の石原伸晃も報道局に在籍していた。
同じようにTBSも、小渕恵三元首相の娘で現自民党議員の小渕優子が『はなまるマーケット』のADで、父の逝去に伴い選挙に出馬するため退職したことはよく知られているが、今年引退を表明し、三女を後継にすることを明かした加藤紘一・同党元幹事長の次女も同局社員。さらに、映画監督・山田洋次の次女も同局の社員である。山田の場合は、過去に週刊誌で“「日本人なら誰でも、その人の作品を観たことがある」という超有名映画監督の娘”と名を伏せられながらも、「ロケの費用を会社から全額預かっているのに連絡なしで遅刻。おまけに、『娘はちょっと体調がすぐれないようなので、今日のロケには行けません』と親から電話が入る」などと、バカ娘&バカ親っぷりを暴露されたこともあるほどだ。
一方、テレビ朝日では、『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』で司会を務めるジャーナリスト・田原総一朗の娘が、プロデューサーとして『徹子の部屋』や『世界の車窓から』を担当。また、昨年、東北楽天イーグルスの球団社長だった島田亨と結婚し退社した石井希和アナも、『渡る世間は鬼ばかり』などで知られるテレビプロデューサー・石井ふく子の親戚に当たる。
もちろんあのNHKにも、日本を代表する作曲家・黛敏郎の長男や、俳優・田中邦衛の長女が入社。アナウンサーの魚住優は女優・浅野温子の一人息子である。また、テレビ東京にも地味ながら俳優・前田吟の長男が入社したり、一世を風靡した海老一染之助の息子が報道局に在籍している。
●親同伴入社式、フジテレビの“二世”入社事情
こうして紹介しただけでも、いかにテレビ局には有名人の子息・子女が多いかをおわかりいただけるかと思うが、驚くべきはフジテレビである。前出の高橋真麻はもちろん、俳優・宇津井健や陣内孝則の長男、ミュージシャン・ムッシュかまやつの長男、放送業界の重鎮である永六輔の次女、中曽根康弘元首相の孫、小説家の遠藤周作や黒井千次の息子など、有名人の血縁者は挙げるとキリがない。ジャニーズ事務所の副社長でメリー喜多川の長女である藤島ジュリー景子も、役員秘書室に在籍していたことがあるほどだ。
当然、有名人の血縁者だからといって、みのの次男のように“問題社員”とは限らない。フジを例にすれば、俳優の故・竜崎勝の娘である高島彩や、脚本家・山田太一の娘で、『101回目のプロポーズ』『最高の離婚』などのドラマを演出してきた編成制作局ドラマ制作センターゼネラルプロデューサーの宮本理江子など、実力が光る者もいる。
だがその一方で、ムッシュかまやつの長男がフジ在籍時に歌手デビューし、会社員にもかかわらずキャンペーンで2カ月間も全国を回り、「いつ仕事をしているのかと首をかしげてしまう」と週刊誌に書かれたり、陣内孝則の長男に至っては入社早々Twitterに「入社式からのまさかの赤坂で家族でご飯わず。開店50分前なのに店を開けてしまう父さんの影響力は改めてスゴさを感じた^^;」とつぶやき、炎上。このほか研修や人事についてもつぶやいていたことで社内でも大ヒンシュクを買い、“コネ史上最大の問題児”と報じられるなど、問題が多いのは確か。
そもそも、一般常識として信じられないのは、フジテレビの入社式が親同伴であることだ。これでは「コネ入社ばかり」「視聴率の4位陥落もそのせいでの人材不足が祟った」とツッコまれても仕方がない。
また、有名人子女の入社が目立つのは、テレビ局だけではない。大手新聞社には政治家の縁者が結構いるし、大手出版社では作家の息子や娘が数多く社員として働いている。ほかにも、有力スポンサーや大手広告代理店幹部の子女など、マスコミ業界の会社内は、既得権益を持つステークホルダーの親族だらけなのだ。
つい先日、大手出版社系のニュースサイトが「有名人子弟社員だからといって『コネ入社』かどうかは微妙」という、やけに言い訳じみた記事を掲載していたが、もしかすると、このコネ入社問題はマスコミが一番触れられたくない最大のタブーなのかもしれない。
(文=編集部)