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ドコモ、通信品質劣化は金融事業に注力した影響か…コミケで「楽天以下」の声も

文=Business Journal編集部、協力=新田ヒカル/スマホ評論家
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 NTTドコモ
NTTドコモの店舗(「Wikipedia」より)

 世界最大級の同人誌即売会「コミックマーケット(通称:コミケ、コミケット)102」が、8月12日・13日に東京ビッグサイトで開催された。コロナ禍以降で初めて人数制限を大幅に緩和したこともあって、以前のように数十万人規模の来場者が訪れた。

 コミケといえば、基本的に(ルールに反しない限り)誰でも受け入れることを理念として掲げているため、激しい混雑が常であり、“戦場”とも称されるほど厳しい環境が毎回話題になる。

 特にモバイルネットワークの品質は注目される。数十万人が訪れるコミケでは、かつてはネットワークがつながらなくなるトラブルが頻発し、各携帯キャリアがしのぎを削るように対応策を練ってきた。今やコミケが開催される際には移動基地局車を配置し、ネットワークを増強することは当たり前になっており、つながらないことはほぼなくなってきたが、通信品質にはキャリア間でバラつきがあるようだ。

 携帯キャリアのなかでも最大手のNTTドコモは、今年に入ってから通信品質の低下がささやかれていた。そんな指摘を受け、ドコモは4月に、夏までに通信品質を改善すると発表。だが、コミケ開催前の時点で、ドコモのネットワークを不安視する声はSNS上で散見された。

 そしていざコミケが開催されてみると、SNS上で「ドコモがつながらない」といった声が相次ぎ、KDDI、ソフトバンクに比べて極めて通信速度が遅い、もしくは不安定な状況が続いていたようだ。さらには、楽天モバイルよりも品質が悪かったと指摘する声もある。

 これはコミケだけのことではない。人が集中した場所において、品質の悪さが顕著になるだけであって、ドコモの通信品質はやはりライバル社に比べて劣っている。では、なぜドコモはこれほどまでに通信品質が悪くなったのだろうか。

 スマホ評論家の新田ヒカル氏は、ドコモの経営体制に根本的な原因があるとみる。

「ドコモの発表では、コロナ禍から明けて人流が急激に増え、通信が逼迫したことを要因に挙げています。それは嘘ではないと思いますが、人流が増えたのはドコモに限った話ではなく、他社も同じです。ドコモだけ通信品質が悪いのは、別の要因があります。

 そもそもドコモは“インフラ屋”です。100年の歴史があるインフラ屋ですから、本来、インフラ整備はどこよりも得意なはずですが、同業他社より劣っているということは、ドコモが通信インフラからの脱却を図っていることの表れでしょう。

 ドコモはdポイントやd払いなどの金融事業などに幅を広げています。通信インフラ以外に資金やコンテンツ、人材などのリソースを割いていることで、本業が手薄になっている側面があると思います。

 事業の幅を広げているとはいえ、ドコモは潤沢な資金があるので、インフラ企業として通信の質はしっかり守ってほしいと個人的には思います」(新田氏)

 通信インフラの一本足打法から脱却を図っていることで、本業がおろそかになるのでは、まさに本末転倒ではないだろうか。

「ドコモだけではなく携帯電話業界全体にいえることですが、菅義偉政権時代に料金引き下げの圧力がかかった際、設備投資を抑えたことも通信環境の進歩が遅れた面もあると思います」(同)

 日本はかつて通信先進国だったが、他国に抜かれた要因はそこにあるのだろうか。

「日本より遅れていた他国は新しい通信インフラに注力できる状況ですが、日本は通信の歴史が長い分、3Gや4Gなどの規格も残っており、維持する必要があります。そのため、5Gなどで出遅れた感はあるでしょう」(同)

楽天モバイルの通信環境は改善するのか

 コミケでドコモの通信品質の悪さが指摘される一方、通信が脆弱な楽天モバイルが健闘していたとの声もある。楽天モバイルの通信は良くなってきているのだろうか。

「楽天モバイルは、都心では電波が入るようになってきていますが、まだ厳しいですね。携帯電話が普及し始めたのは1990年代後半で、ドコモなどは数十年の歴史がありますが、楽天は携帯事業に参入してからまだ数年です。携帯電話の電波は、周波数が低いほど遠くまで飛ばせますが、低周波数帯を割り当てられていない楽天モバイルは、より多くの基地局を必要とします。アンテナ基地局を全国にくまなく整備するには、まだ時間がかかるでしょう」(同)

 早ければ今年中にも楽天モバイルにプラチナバンド(低周波数帯)が割り当てられるとの観測もある。それによって楽天モバイルが大手キャリア3社を追い上げる可能性はあるのか。

「楽天は当初、格安の料金プランを引っ提げて携帯電話事業に参入し、“4大キャリア”となり、利用者の25%を取り込む狙いでした。しかし、菅政権の携帯料金引き下げ要請によって3大キャリアも料金を引き下げたり、格安ブランドを立ち上げたことで、楽天のもくろみは外れてしまいました。プラチナバンドが割り当てられても、それだけで楽天モバイルに乗り換えるユーザーは多くないでしょう」(同)

 業界最大手のドコモの通信品質の懸念される一方、苦境にあえぐ楽天モバイルがプラチナバンドを割り当てられれば、逆襲の手がかりとなり得る。今年、日本の携帯電話業界は大きく情勢が動く可能性がある。

(文=Business Journal編集部、協力=新田ヒカル/スマホ評論家)

新田ヒカル/スマホ評論家、マネー評論家

新田ヒカル/スマホ評論家、マネー評論家

「ワールド・ビジネスサテライト」、「スーパーニュース」他に出演。東証等で講演。日経、読売、朝日、週刊文春、週刊現代、AERA、東洋経済、女性セブン、女性自身他に掲載。スマホ評論家って?・・・知り合いのパソコンやスマホなどのサポートをしているうちに、お世話になってる編集者から「君は元々NTTで業界のことも端末のことも詳しいからスマホの専門家だね」と言われて、取材を受けるようになり、今に至ります。
新田ヒカル 公式サイト

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