リクルートは大勝負に出た。2011年12月30日、米人材派遣会社、アドバンテージ・リソーシングとそのグループ会社(欧州を中心に香港、シンガポール等に拠点を持つ)を4.1億ドル(約320億円=1ドル78円で換算)で買収した。10年の医療ヘルスケアのCSI、11年10月の軽作業のスタッフマークに続き、米国の人材派遣会社を買収するのは3例目となる。
この買収によって、リクルートはスイスのアデコ(10年の売上高240億ドル)、オランダのランスタッド・ホールディング(同209億ドル)、アメリカのマンパワーグループ(同188億ドル)に続き、世界第4位の人材派遣会社に躍り出た。買収した欧米の人材派遣会社を加えると、リクルートグループの同事業11年3月期の売上高は、約70億ドル(約5500億円)となった。同期の売上高に相当する連結営業収益は7526億円。人材派遣部門の売り上げは全体の73%に達しており、比重の大きさがわかろうというものだ。
長期目標は人材派遣事業で世界のベスト3に入ること。しかし、3強とは売上高で100億ドル以上の差がある。国内では人材派遣会社の身売り案件が増えているが、リクルートの目は海外に向いている。
4月1日、リクルートは柏木斉氏から峰岸真澄氏に社長が交代。峰岸新社長に与えられたミッション(使命)は、世界の3強との差を縮めることだ。これにはさらなるM&A(合併・買収)が必要不可欠となる。5月に発表した中期目標では5~6年後にM&Aを中心に事業の拡大を図り、売上高の海外比率を現在の20%から50%に引き上げる。
アドバンテージ・リソーシングなどの大型の買収効果で、13年3月期の連結営業収益は前期比26%増の1兆200億円(12年3月期は8066億円)と4期ぶりに1兆円を超える見通しだ。