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NHK、大谷翔平の米MLBに年124億円の放映権料?受信料の使途に疑問も

文=Business Journal編集部
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NHK放送センター(「Wikipedia」より)

 関西大学名誉教授の宮本勝浩氏は「2024 年ドジャースにおける大谷選手の経済効果」と題するレポートを発表。推定値として、NHKが米国メジャーリーグベースボール(MLB)に支払っている放映権料が年平均約8000 万ドル(約124.6億円)であり、このうち大谷翔平選手(ロサンゼルス・ドジャース)の放映分は約5600万ドル(約87.2億円)に上ると試算している。正確な金額は公開されていないが、もし仮にこのレベルの金額をNHKがMLBに支払っているのだとすれば、国民から広く徴収した受信料の使途として適切なのかどうか疑問だとする指摘もあがっている。

 2日(日本時間)時点でメジャーリーグのナ・リーグで打率2位で、アトランタ・ブレーブスのマルセル・オズナとホームラン首位争いを展開する大谷選手。今シーズン開幕直前の3月には元通訳、水原一平氏が違法賭博を行っていたとして球団から解雇され銀行詐欺の罪に問われるという騒動に見舞われたものの、好調な成績をあげている。

 そんな大谷選手の経済効果を宮本教授は試算。レポートによれば、24年のドジャースにおける大谷選手の経済効果は約865億1999万円に上るという。レポートはNHKとMLBの放映権契約にも言及。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによるとNHKとMLBとの放映権契約は04年~09年の6年間で総額2億7500万ドル。現在では正確な金額は不明なものの上記金額と推定され、そのほとんどが大谷選手の放映であることを考えれば、大谷選手によりMLBがNHKから得る年間放映権収入は少なくとも放映権料の約7割、5600万ドルに上ると試算している。

 NHKの22年度の受信料収入は6965億円。そのうち約1.8%相当がMLBに支払われていることになる。比較として、NHKと日本民間放送連盟(民放連)で構成するジャパンコンソーシアム(JC)が2018年から24年に開かれるオリンピック4大会の放送権料として国際オリンピック委員会(IOC)に支払う金額は合計1100億円。22年のサッカー・FIFAワールドカップ(W杯)全64試合を放映したサイバーエージェントが支払った放映権料は200億円とされる。

「五輪の放映権料についてJC内での負担割合はNHKが6~7割程度とみられている。仮に6.5割とすると単純計算で一大会あたりのNHKの負担は約178億円。これと比較すると、MLBに支払う年124億円という金額、さらには大谷選手によるものと試算される87億円という金額がいかに高いかがわかる」(キー局関係者)

職員1万人以上、NHKという巨大組織

 NHKは今年、地上波とBS合わせてMLBの約200試合を放送する予定だが、年間放映権料が同リポートの金額だと仮定すると、一試合平均約6200万円となる。キー局関係者はいう。

「NHKがあるおかげで試合中継やニュースで大谷選手の活躍をたくさん見られると考える視聴者もいる一方、野球にまったく興味がない人も多く、そういう人は『なんで受信料から毎年100億円以上も米国のスポーツ組織に払わなければならないのか』と感じるだろう。NHKの受信料(地上波のみ)は年間約1万2000円(1年分一括前払いの場合)だが、根本的な問題として、NHKがこれだけの額を国民から半ば強制的に徴収してまでスポーツ番組やバラエティー番組、ドラマ、歌番組などを放送する必要性があるのか。

 対民放テレビ局への民業圧迫の問題もあるが、公共放送局的な組織が必要というのなら、政治・経済・社会モノのニュースや災害報道などに特化した独立的かつスリムな組織をつくって、税金で運営すればよい。そうすれば国民一人当たりの負担は年間数百円程度で済み、職員が1万人以上もいるNHKのような巨大組織は必要なくなる。民放局も災害時には通常放送を中止して24時間体制で災害報道に徹しており、十分に公共的な役割を果たしている。こう考えれば、NHKが受信料からMLBに毎年100億円以上を支払う必要性はない」

 別のキー局関係者はいう。

「NHKが大谷選手の映像をたくさん放送することで、民放局の放送で見られる機会が奪われていることになるので、民業圧迫なのは明らか。また、五輪は多くの種目に世界中のトップアスリートが出場し、日本人も数多く出場する国際的なスポーツの祭典という位置づけになっているので、公共放送局が多額の放映権料を支払うというロジックはギリギリ成り立つかもしれない。一方、海外の一国の一種目のスポーツ運営組織に支払うということに正当性はない」

(文=Business Journal編集部)

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