三菱UFJ銀行は16日、元行員が貸金庫から顧客の資産を盗んだ疑いで逮捕された事件を巡り、半沢淳一頭取と堀直樹会長の月額報酬を3カ月30%減額する処分を発表した。山本忠司常務ら担当役員3人の報酬も減額し、経営陣の責任を明確にする。
また、同行は防犯カメラの増設や貸金庫の予備鍵の複数行員による管理など、追加の再発防止策を盛り込んだ報告書を金融庁に提出した。同庁は先月16日、銀行法に基づく報告徴求命令を出していた。
半沢、堀両氏は昨年7月にも、顧客企業情報の無断共有などを巡り報酬減額処分を受けている。丹後健史常務はオンライン説明会で、「多くの方々にご心配とご不安をおかけした社会的影響の大きさの責任を重く受け止めた」と陳謝した。
同行によると、今月10日時点で確認された被害額は、顧客約70人の計約14億円。このうち40件、計約7億円の補償を実行したという。
同行は問題発覚後の昨年12月、支店に保管されている予備鍵を本部で一括管理するなどの再発防止策を表明したが、今回さらに徹底。防犯カメラの映像や関連データの分析による監視強化、予備鍵の封かん手続き厳格化などを打ち出した。
貸金庫ビジネスに関しては、顧客ニーズや採算性に加え、金庫の中身が把握できないといった事業リスクも踏まえて中長期的な方向性を検討する方針も示した。
元行員の今村由香理容疑者(懲戒解雇)は2020年4月~24年10月に現在の練馬、玉川両支店(いずれも東京)に在籍。貸金庫を1人で管理し、支店の予備鍵を使い不正に貸金庫を開けて繰り返し現金や金塊などを盗んでいたという。
警視庁は今月14日、顧客2人の金塊計約2億6000万円相当を盗んだとして窃盗容疑で逮捕した。
◇三菱UFJ銀の発表のポイント
▽半沢淳一頭取、堀直樹会長、山本忠司常務の月額報酬を3カ月30%減額
▽他の担当役員2人も月額報酬を3カ月20%減額、部長級含む追加処分も検討
▽被害額は1月10日時点で計約14億円、被害顧客数は約70人
▽40件、約7億円の補償を実行済み
▽防犯カメラの増設や複数行員での予備鍵管理など再発防止策を追加
▽ニーズや採算など踏まえ貸金庫ビジネスの中長期的方向性を検討(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2025/01/16-18:44)