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『無印良品は仕組みが9割』著者・松井忠三良品計画会長インタビュー

無印良品の強さの源、徹底した仕組みづくりとマニュアル化の秘密~松井会長に聞く

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–実際に、01年から大きく業績は回復しましたね。

松井 おかげさまで、その後順調に業績は回復し、05年には過去最高益を達成することができました。社員一人ひとりの力量勝負では、実は企業間でそれほど差は生まれません。一人ひとりの力量を一本にまとめる仕組みを持つことで、企業として競争力を発揮することができるのです。もちろん赤字に陥った時にリストラなども行いましたが、人を削ったあと、いかに競争力を上げるかが問題なのです。「負けた構造」をいかに「勝つ構造」に変えられるかが、一番の勝負なのです。

–具体的にMUJIGRAMを活用して、どのような経営改革を行ったのですか?

松井 例えば、以前では10店舗出店しても、計画した売り上げを達成できているのは2店舗くらいでした。店舗出店担当者は「この店舗だったら5億円くらいの売り上げはいくだろう」と思いそのまま提案しても、5億円では本社から出店許可は下りないため、「だったら6億円で申請しよう」となってしまうのです。その結果、正確な計画が立てられないという状況でした。そこで新規出店に関するさまざまな要素を点数化して、その基準に合わなければ店舗は出さない、という仕組みにしたのです。

 ここで重要なのが、それを社内だけではなく、社外にも公表した点です。例えば家賃の上限は売り上げの12%までと定めています。それを公表することで、人の判断の入る余地がなくなり、自動的に出店可否が決まるため、テナントの貸主などとの交渉に無駄な労力を割く必要もなくなります。その結果、04年から新規店舗の売り上げ計画達成率は90%と、以前とはまったく逆の結果となりました。

 また、店舗での業務の仕組みも見直しました。以前は各店舗でベッドや自転車などが売れると、閉店後に梱包し、お客様へ発送していましたが、これが大きな手間となっていたのです。これをなくそうと各店舗で在庫データを見ることができるようにし、物流センターから直接お客様へ商品を発送する仕組みに変えました。その結果、業務の効率化を行うことができました。

 こうして細かい改善の積み重ねにより、従来では一店舗当たり20人の店員で運営していたものが、15人でも回せるようになり、さらに一人ひとりの負担は楽になります。今でも半期に10項目くらいは、こうした店舗の業務改革を進めています。

 人を単純に削って利益を出す、というのでは続きません。仕事を減らし生産性を上げていく、そのためには常に変えていく、という姿勢が大切だと思います。

●アイデアを他社から得る仕組み

–そうした改善のアイデアは、どうやって見つけるのですか?

松井 他社から借りる、ということが多いですね。ただ、それも仕組みづくりが重要でした。以前、私が西友【編註:無印は1980年に西友のプライベートブランドとして誕生。89年に良品計画が設立され、無印の展開を移管】にいた時も、さまざまな企業を見学する仕組みはありました。ただその頃は「見に行っておしまい」ということもたくさんありました。弊社の社外取締役にファッション小売りのしまむらの方に入っていただくことで、両社の役員同士が会食をしたりして情報交換を行っています。この交流を部長同士、次は課長同士と下に広げていくことで、両社の社員が気軽に電話で情報交換できる関係が構築されていきます。

 このように、会社は社員が他社の知恵を取り入れられる仕組みをつくることが大切だと思います。

–業務改善の一環として、現在本部では、18時半でほぼすべての社員が帰宅するようになっています。ノー残業に取り組む企業が多い一方、なかなか実現できないケースが多い中、御社はなぜ達成できているのですか?

BusinessJournal編集部

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