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ゴルフ場最大手、なぜ突然ゴルフ場の7割売却?市場で広がる疑問~究極の買収防衛策か

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 ちなみに(3)の配当は持ち分25%に対する配当なので、信託会社の配当総額は55億円。偶然か必然か、この額はアコーディアの14年3月期の予想配当総額57億円にほぼ匹敵する額だ。

 一方、SPCに移る90コース分の売上高は834億円と278億円の差額で556億円。営業経費率が現アコーディアの14年3月期予想と同水準の84%とすると、SPCの営業経費は467億円となり、営業利益は89億円。信託会社はシンガポール法人だが、SPCはあくまで日本法人なので税金は日本の税率が適用される。アコーディアの実効税率は13年3月期実績で48.3%と法定実効税率よりも10ポイントほど高いが、SPCの実効税率が法定実効税率並みと考えると、信託会社として55億円の配当原資を確保するには、少なくとも税引前当期純利益ベースで91億円以上が必要になる。89億円の営業利益からアコーディアに業務委託料を55億円も払ったら、配当原資は20億円足らずになり、アコーディアが受け取る配当金は5億円にしかならず、計算が合わない。

 SPCの営業経費があと55億円少ない412億円に減り、営業経費率が74%まで下がるのなら、アコーディアに55億円の受託料を支払ってもSPCは55億円の配当原資を確保できる。だが、そうなればSPC側で減る55億円もの営業経費はどこへツケ回されるのか。アコーディアが負担するのだとしたら、新アコーディアの営業利益は一体いくらになってしまうのか。

 残る可能性は、SPCが免税になるケースくらいしかない。J-REITは配当可能利益の9割超を配当に回すなどの要件をクリアすると免税になる。SPCがJ-REITと同様に免税扱いになれば税引前当期純利益は55億円でいい。だが、「このスキームでREIT税制が適用されるかどうか疑問」(税務に詳しい弁護士)と言う声があるうえ、現行法で適用可能だとしても、スキームを変えただけで免税になるなどということを国税がよしとするのだろうか。たちまち税法の方を改正されて封じ込められるリスクは当然ある。

●アセットライトは焦土化作戦なのか

 55億円もの営業経費をSPCもアコーディアも一切負担することなく、まるまる削減できるウルトラC級の秘策がないとしたらどうなるか。現在アコーディアの株主に支払われている配当が、そっくりそのままシンガポールの信託会社の株主のものになり、アコーディアの手元に還流するのはその4分の1でしかなくなると考えざるを得ない。だからこそアセットライトを焦土化作戦、もしくは究極の買収防衛策と見る説があるのであり、それはあながち荒唐無稽というわけではないのだ。

BusinessJournal編集部

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