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ゴルフ場最大手、なぜ突然ゴルフ場の7割売却?市場で広がる疑問~究極の買収防衛策か

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 そしてレノがアセットライトの実施に賛同していることをどう見ればいいのか。アコーディア側は、450億円の自己株買いに、レノに保有株を売却してもらう目的があるとはしていないが、すでに応募の内諾は取っているとみられる。ただ、公開買い付けの上限は発行済みの3割程度でしかない。応募が上限を上回れば比例按分となり、株主としては応募しても全株は処分しきれず手元に株が残ってしまう。手元に株が残るのにTOB終了後に株価が暴落するというシナリオは、株主としては絶対に避けたい。それはレノとしても同じであり、レノの平均取得単価は848円だが公開買付予定価格は1400円なので、応募数が上限の3割以内なら間違いなく保有全株を1400円で処分できて、レノには投下元本216億円に対し、約140億円の売却益が転がり込む。

 応募数が買い付けの上限を超えても、発行済みの6割程度にとどまればレノは投下元本の回収はでき、保有議決権割合は11.8%まで下がるが、応募が6割を超えてくると、TOBだけで投下元本を回収することはできなくなってくる。

 すべての株主が応募したら、レノはTOBでは投下元本の半分しか回収できず、議決権割合は依然として21%という高い水準のままになる。TOB終了後に株価が暴落したら、レノは含み損で火だるまになりかねないが、そのスキームにレノは賛同している。

 アコーディアの株主は、約3分の2が国内外のプロ機関投資家だ。前出の日経新聞報道前日の3月26日から4月2日までの6日間、売買高は大きく膨らんだ。売買高は膨らんでも3月31日に年初来安値を記録して以降、若干の戻りはあっても上値は重い。現段階の限られた情報の範囲内で、プロの機関投資家は、アセットライトでアコーディアの企業価値が上がるとは考えていないということだろう。

果たして株主総会で機関投資家は賛成に回るのか、それとも反対に回るのか。総会前に保有株を売り切って逃げるのか、あるいは株主価値の向上を信じて保有し続けるのか。判断に必要な数字の開示が後回しにされればされるほど、機関投資家といえども選択肢は限られていく。総会までまだ2カ月以上。一波乱も二波乱もあるに違いない。
(文=伊藤歩/金融ジャーナリスト)
 
 

BusinessJournal編集部

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