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勝ち組の象徴・日立、なぜ不安感?巨額赤字から最高益までの軌跡、1本柱依存脱却への課題

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●示せない成長シナリオ

 日立は現在推進中の中期経営計画で、15年度に売上高10兆円、営業利益率7%超の数値目標を掲げている。これに関連して東原敏昭社長は、4月1日の社長就任直前に受けた「週刊東洋経済」(東洋経済新報社)の取材の中で「当社が本当のグローバル企業になるためには、営業利益率2桁を目指す必要がある。だから、課題解決型ソリューションと製品ライフサイクル管理、この2つのサービス事業に軸足を置いて稼ぎたい」と、今年度の事業方針とも取れる抱負を述べている。

 しかし、問題はこの抱負の具体化策だろう。換言すれば、収益安定化を図るための2本目、3本目の杭をいかにして打ち込み、市場環境の変化に迅速対応できるしなやかで強靭な事業ポートフォリオを構築できるかが、今後の日立の成長を左右する。だが、前出アナリストは「アナリスト向け説明会をはじめとする東原社長のどの会見からも、そのシナリオが見えない」と顔を曇らせる。さらに、過去にV字回復のために行った過酷なリストラで、現場には疲弊感も広がりつつあるという。

 果たして日立は市場の一部に漂う不安感を払拭し、2年連続最高益更新を達成することができるのか、「総合電機の雄」の動向から目が離せない。
(文=福井晋/フリーライター)

BusinessJournal編集部

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