さらに8月6日には、成田空港発着の国内線を10月下旬に運休する方針を固めた。国際線参入をにらみ11年に成田空港へ就航したが、エアバスから巨額損害賠償を求められる可能性も重なり、これ以上、不採算路線を維持するのは困難と判断したとみられている。
一部では資金繰り不安もささやかれるスカイマークだが、同社混乱の予兆は今年前半からすでに表れていた。それがいわゆる「ミニスカ機」騒動である。
丈の短いスカートを着用した客室乗務員(CA)が搭乗するため、「ミニスカ機」として話題を呼んだスカイマークのエアバスA330-300型機が、3度の運航開始延期の末、6月14日、ついに就航した。
欧州エアバスの中型旅客機A330型機はデビューしてからすでに20年近くたつが、国内航空会社の採用としてはスカイマークが初。同社が主に使用している米ボーイングの中型旅客機B737型機に比べて一回り大きく、本来なら440座席を収容できる。だが、スカイマークはこれを271座席に抑え、全席を「グリーンシート」と名付けた「ゆったり座席」にしている。「空の旅の快適さを売りに」(同社関係者)するためだ。
さらにスカイマークがA330の話題づくりにしたのが、CAのいわゆる「ミニスカ制服」だ。発表と同時にこの制服だけがクローズアップされ、そのうち同社の狙いだったグリーンシートは忘れ去られる結果となったが、そんな中で露呈したのが、同社のずさんなA330就航計画だった。
●ずさんな就航計画
スカイマークの計画では、A330をビジネス客や観光客の多い羽田―福岡線に3月25日から投入し、「ゆったりした座席の魅力とミニスカ制服のPR効果」(同社関係者)で集客力を高めるはずだった。しかし、ズルズルと運航開始日がずれ込み、計画が反故になってしまった。
原因はパイロットの不足などによる国土交通省の事業認可の遅れ。スカイマークはこれまで米ボーイングの機材しか運航した経験がない。機材はメーカーごとに整備方式が異なるため、A330の導入に際して「整備マニュアルをゼロから作成し、整備士を再訓練しなければならなかった」(同)という。
また、スカイマークが予定していた2機のA330を運航するためには、通常は10名のパイロットが必要といわれている。ところが5月20日時点で、パイロットは6名しか採用できていない状態で、パイロットのA330への機種転換訓練も修了していなかったとみられている。