西友が2000年に「食品など店舗にある商品をネットで販売し、即日配送する」西友ネットスーパーを始めたのが流通大手の先駆けだ。イトーヨーカドーネットスーパー(01年)、イオンネットスーパー(08年)、サミットネットスーパー(09年)などが相次いで参入。百貨店では三越伊勢丹エムアイデリ(11年)がデパ地下商材のネット販売を始めた。
7月には、楽天がインターネット経由で注文した生鮮食品を自宅まで配送する楽天マートを開業した。野菜や海産物、精肉などのほか、仮想商店街の楽天市場で取り扱う一部商品も販売する。楽天はこれまで自前の物流網を持っていなかった。楽天市場では出品業者が独自に配送業者に宅配を依頼していた。楽天マートは地場の配送業者と提携していく。当初は東京都の豊島区、北区、板橋区、練馬区の4区で展開し、来春には東京都内、13年中に関東全域までサービスエリアを拡大する計画だ。
コンビニエンスストアもネット販売に本腰を入れる。ローソンは有機・低農薬野菜の会員制宅配会社らでぃっしゅぼーや(東京・港区)と11年9月に新会社を設立し、翌月、野菜のネット通販に参入した。「らでぃっしゅローソンスーパーマーケット」では、ローソンが自社開発した野菜も販売。14年度の売り上げを100億円にするという目標を掲げている。
コンビニ最大手のセブン-イレブン・ジャパンは5月から子会社セブン・ミールサービスの弁当や総菜の宅配について、500円以上なら無料で配送するサービスの全国展開を始めた。500円未満の注文でも120円で配送を請け負う。セブン・ミールの弁当宅配はこれまでヤマト運輸に依頼していたが、今後は各店舗の従業員が運ぶ体制に切り替える。1万4000店のうち1万店以上がこの新サービスを導入する。店舗のオーナーには宅配1件ごとに120円程度の奨励金を支払う。
新規参入を受けて、既存のネットスーパーも事業拡大を急ぐ。サミットネットスーパーを展開する住友商事は7月、NTT東日本と組んでネットが苦手な高齢者などに的を絞り、専用端末を使ってテレビ画面から注文できるサービスを始めた。当面、東京都と神奈川県の一部が対象だ。
ネットスーパーの市場規模は、すでに700億円を超えたとみられている。ここ3年で3倍以上に拡大した。将来は2~4兆円の規模になると期待が膨らむ。