大人気の立ち食い「いきなり!ステーキ」、型破りのモデル?なぜ高価格&低価格実現?
両社に共通するのは、高品質、低価格を提供するために、トータル的なマネジメントを行っている点だろう。これまでの飲食店は売り上げを上げるために、食材の原価、人のコストを抑えて、お店の雰囲気やサービスを向上させる努力を行ってきた。しかし、両社は高品質と低価格を両立するために、質(Quality)、コスト・お金(Cost)、デリバリー・時間(Delivery)、環境(Environment)をコントロールしている。
ビジネスを行う際には、QCDEのバランスを考えることが重要だといわれている。両社は、多少の違いはあるが、基本的にクオリティを上げるためにオペレーションコスト(入荷検品・値段付け・商品陳列・商品補充・レジ作業などの店舗経営に関わるコスト)や店内環境を犠牲にしているといえる。店内は狭く、顧客は落ち着いて食事をすることができない代わりに、高品質の料理を低価格で食べることができる。そして、そこに価値を感じる顧客はリピーターとなっている。顧客ターゲットを絞っていることも重要な戦略の一つといえる。
もちろん、QCDEすべてを向上させることが理想だが、QCDEは常にトレードオフ(相反)の関係である。自社のサービスでは顧客に何を提供したいのか、といった戦略を明確に持ち、その方針をブレさせずに実行することで、高い顧客満足を得られるとともに、結果、自社のビジネスも成功するのだ。ビジネスを検討する際は、つい目先のお金に目が行きがちになる。売り上げや利益を上げるために、コストを抑えることが必要となり、原価低減やリストラが行われることになる。しかし、目先のコストだけでなく、トータルリソースコストをコントロールすることが重要なのだ。
(文=岡田和典/経営コンサルタント・大学院客員教授)
※本稿は、岡田和典氏のメルマガ「最新事例に学ぶ事業価値創造のキーファクター – 岡田流ビジネスマインド養成講座 -」から抜粋したコンテンツです。
【筆者プロフィール】
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