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人材業界、人手不足時代到来で低迷から一転 “潤う” テンプ最高益、再編加速か

文=編集部

人材業界、人手不足時代到来で低迷から一転 “潤う” テンプ最高益、再編加速かの画像1「テンプホールディングス HP」より
 2008年のリーマン・ショック以降、市場規模の縮小が続いてきた人材サービス業界に「人手不足」の追い風が吹き、各社の業績が上向いてきている。

 総合人材サービス大手テンプホールディングスの2014年4-6月期連結決算の売上高は、前年同期比11%増の957億円、営業利益が44%増の56億円、純利益は74%増の34億円となった。同社は13年4月に、求人広告などを手掛けるインテリジェンスホールディングスを米投資ファンドKKRから510億円で買収した。買収の背中を押したのは12年10月に施行された改正労働者派遣法。派遣先企業は規制強化を懸念して直接雇用に切り替えるなど「派遣離れ」が進み、人材サービス業界は極端に少なくなったパイを奪い合う状態となった。テンプは連結売り上げの8割を人材派遣で稼ぐ。転職支援など人材紹介は手薄で、求人広告は手掛けていなかった。人材派遣事業以外にシフトするため、巨額資金を投じてインテリジェンス買収という大勝負に出た。

 この賭けは勝負は吉と出た。景気回復に伴い、事務系や技術者の人材派遣や紹介サービス需要が拡大。4-6月決算でみると、主力の人材派遣事業の売り上げは9%増の671億円、セグメント営業利益は10%増の32億円となり、派遣スタッフの社会保険料の増加や業務の繁忙による人件費増を吸収して好調に推移した。

 利益を大きく積み上げたのは買収したインテリジェンスの事業だ。転職サービス(DODA)、再就職支援サービス(an、salida)などのキャリア事業の売上高は79億円と、派遣事業に次ぐ第2の柱となった。セグメント営業利益は17億円と、ほぼ倍増した。15年3月期(通期)の見込みは、売上高は8%増の3900億円、営業利益は13%増の210億円となり、4期連続で最高益を更新する見通しだ。中期計画では、17年3月期の売上高5000億円、営業利益300億円という強気の数値目標を掲げているが、好決算が引き金となり、8月25日の株価は上場来最高値の3840円をつけた。テンプは人手不足で最も潤った企業の一つとなった。

●大都市では3社に1社が人手確保に苦慮

 厚生労働省が発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から横ばいの1.10倍で、1992年6月(1.10倍)と並ぶ高水準だ。都道府県別で最も有効求人倍率が高かったのは東京都の1.62倍で、売り手市場となった大都市では人手不足が企業経営者の悩みのタネとなっている。

 では、どのくらいの数の企業が人手不足なのか。リクルートワークス研究所の調査によると、今年4-6月のパートやアルバイトの採用で、必要な人材を確保できなかった企業は30.5%に上った。正社員の中途採用で必要数を確保できなかった企業も32.1%に達し、景気回復の途上で3社に1社が人手確保に苦慮していることを示している。なかでも小売業(43.8%)と飲食サービス業(42.4%)は、「仕事の大変さに比べて給与水準が低いことが敬遠され」(同研究所)、パート・アルバイトを確保できなかった。

●業界再編加速か

 こうした背景が、人材派遣会社への派遣要請が増える要因となっている。縮小してきた人材派遣市場は底を打ち、上向きに転じ、長い冬の時代から抜け出す絶好のチャンスを迎えた格好となったが、そもそも人材派遣会社自体が人手不足で苦しんでいる。テンプ傘下のテンプスタッフが運営する求人検索サイト「ジョブチェキ!」上に表示される求人数をみると、年初の約1万人程度から9月には8割増となり1万8000人を超えている。これに対し仕事を求める派遣登録者数は、3割前後しか増えておらず、需給ギャップが広がっている。このギャップを埋めるために、派遣各社はOAや語学、専門事務など分野ごとに派遣登録者のスキルアップを支援することで、囲い込みを図っている。

BusinessJournal編集部

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