6月28日、愛知県警は携帯電話契約者の個人情報を探偵業者に漏らしたとして、岡山市のソフトバンクショップ元店長を不正競争防止法違反(営業秘密侵害)の容疑で逮捕し、漏らした相手である広島市の探偵業者も逮捕された。続いて8月9日、同県警は香川県のソフトバンクショップ元店員も同じ容疑で逮捕したが、こちらも先に逮捕された広島市の探偵業者が関与していた。
報道によると、岡山県の事件で元店長が受け取った報酬額は「1件6000円」、香川県の事件で元店員が受け取った報酬額は「1件5000円」となっていた。
8月に逮捕された香川県の元店員の漏えい容疑は3件だけで、報酬の総額は1万5000円。広島県の探偵業者は、それを愛知県の探偵業者に転売していたが、その「卸売価格」は1件1万1000円~1万3000円だったというから、「売上原価」の5000円を差し引いた「粗利益」は6000円~8000円程度にすぎない。
6月に逮捕された岡山県の元店長は、容疑は3件だけだが、2007年に店長になってから「たびたびやっていた」と供述し、一部報道では計45件、総額約380万円と報じられている。それでも、加入者情報を「卸売り」していた広島県の探偵業者が約2000万円得ていたのに比べると少ない。
だが、上には上がいる。
携帯電話加入者の個人情報を「小売り」していた愛知県の探偵業者は、4年間でなんと8億5000万円も荒稼ぎしていたという。
小売価格は1件10万円
では、「小売価格」は1件いくらなのか?
ある探偵業者の話によると、「オーダーされて氏名、住所、電話番号が特定できる正確な個人情報を提供すると、モノにもよるが1件当たり10万円はもらえる」という。
その10万円から「卸売価格」を差し引いた「粗利益」は、8万7000円~8万9000円になる。粗利益率87~89%とは、相当儲かるビジネスだ。