違法すれすれの名簿業者
そんなリストを買い取ってくれるのが「名簿業者」で、同窓会名簿でも顧客リストでもなんでも買取してくれる。今回の事件のように、不正に取得されたと容易にわかる個人情報を買取・販売すると、個人情報保護法第17条の「不正な手段による取得」にあたり、名簿業者も罰せられる可能性があるが、現実には、一部はおおっぴらに、一部は水面下に隠れて売買されている。
いくつかの業者のウェブサイトを見ると、「携帯電話所有者名簿」が堂々と売られていて、リストには住所も自宅の固定電話も掲載されていると書いてある。
では、携帯電話の加入者リストは、1件いくらで買い取ってくれるのか?
ある業者によると、サイトからダウンロードして、販売業者に電子データで渡しても「1件0.2円以下」だという。販売業者のほうは1件当たりの単価30円とか50円で売っていても、だ。
ピンポイントでオーダーされたら5000~6000円でも、リストの形で買い取らせると0.2円以下になるのである。
ソフトバンクの孫正義社長がツイッター上で発表した同社の携帯電話契約数は、8月11日に3000万件を突破している。ということは、こっそり漏れなく全加入者情報をダウンロードしたとすると0.2円×3000万件=600万円で売れる計算だが、実際はその半額以下にディスカウントされるのはまず確実なのだそうだ。
ソフトバンク契約者リストは、腐るほど出回っている?
というのは、ある名簿業者によると、どこの名簿業者にもソフトバンクの携帯所有者のリストは腐るほど持ち込まれているからだそうで、逆に、最も高価買取してくれるのはauの加入者リストだという。
そのあたり、「携帯電話番号調査」でソフトバンクの携帯だけ格安の「ご奉仕価格」で提供している探偵業者があるのと、見事に符合している。
ということは岡山と香川の事件はほんの氷山の一角、ということなのか?
業者の話によると、携帯電話の所有者名簿はそのままではなく、ゴルフ場の会員とか美白化粧品の購入者のような、他の名簿と突き合わせて携帯電話番号を加えたり、住所変更などのデータのアップデートに使うので、新しいものほど好まれるという。しかし、個人の年収や資産がわかるデータや、訪問販売のセールスマンに根負けした人の「カモリスト」に比べると、価値は下がる。それでもソフトバンクの携帯に関しては、あるメリットが存在するという。
それは、「ホワイトプラン」は午前1時から午後9時まで、ソフトバンク同士だと通話料が無料になること。