3回入院でも半分しか元が取れない!? 損しない医療保険活用術
(「同社HPより)
さらに、40代も後半に近づくにつれ、気になるのは老後の医療費。保険に入る目的は、遺族のための保障から自分のための保障へとシフトしてくる。がんによる高額な医療費に備えるために、先進医療特約に加入したいと考える人も多いだろう。
医療保険には、月々数千円から1万円以下で加入することが可能だ。入院や手術に対して、給付金が支払われるというしくみの保険。加入する際、つい1カ月あたりの保険料を支払えるかという観点で選びがちだが、一生涯に負担する保険料の総額を把握している人は、どのくらいいるだろうか?
気がつけば、払い込んだ保険料は90万円にも…
例えば35歳の男性が、1日当たり5000円の医療保険に加入したケースで考えてみよう。1回の入院が60日型で、60歳まで保険料を支払うと、約90万円に達する。仮に、一生涯で3回入院したと考えてみよう。
1回目 交通事故 20日間 入院給付金10万円+手術給付金5万円
2回目 がん 12日間 入院給付金 6万円+手術給付金5万円
3回目 認知症 40日間 入院給付金20万円
合計 46万円
このケースだと、
90万円-46万円=44万円
となり、保険料の約半分が医療保険のコストとなる。もちろん、保険という商品にも手数料や儲けが上乗せされているため当然のことだが、入院をせずに死亡する可能性だってゼロではない。この場合は、保険料のすべてが掛け捨てとなってしまう。
しかし、いざ入院をすると、「保険に入っていてよかった」と心から考えてしまうのが普通だ。これは自分の払った保険料のことをすっかり忘れて、受け取る入院給付金のことだけを考えるからである。
行動ファイナンスによれば、「人は必ずしも、合理的な行動をとるとは限らない」という。つまり、医療保険に入らないで貯蓄をしたほうが合理的なのはわかっているけど、医療保険に加入してしまうということ。
FPは、ムダそうな医療保険でも加入しているワケ
では、ファイナンシャル・プランナー(FP)自身は「医療保険に加入せずに、貯蓄をしているのか?」というと、そんなことはない。ほとんどのFPは、医療保険に加入しているだろう。
ただし、合理的に加入している人が多い。一般に医療保険というと、入院給付金が1日当たり5000円や1万円に設定されている。