JAL再上場、稲盛経営の舞台裏と“一民間企業”としての今後
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第2のリクルート事件? “疑惑まみれ”JAL再上場の舞台裏
放漫経営のあげく破綻し、支援機構から役員の派遣を受け入れるとともに、3500億円もの出資、つまり国の支援を受けたJALは、既存株主や、1万6000人にのぼる職を失った従業員、運航便の廃止などで不便を強いられた利用者らの“犠牲”と引き換えに、経営の「V字回復」を果たした。
これまで「経営の神様・稲盛和夫氏の下での再生美談」一色だったが、ここにきて、東京新聞(8月7日付)、「週刊文春」(文藝春秋/8月9日号)をはじめとするメディアが、ある疑惑をやり玉に挙げ始めた。
その疑惑とは、JALの稲盛名誉会長が同じく名誉会長を務める京セラに関するものである。京セラを含む8社は、JALの会社更生手続きが終了する直前の2011年3月15日、第三者割当増資により合計635万株を取得したが、これはインサイダー取引ではないか? というものだ。もちろん、JALは3月時点では非上場会社であるため、インサイダー取引を行っていたとしても違法ではない。しかし、この取引が“目前に控えた上場を見越して”行われたものであるとすれば、問題視されてしかるべき行為であろう。
この疑いについて、証券業界関係者は次のように解説する。
「第三者割当増資による株式取得額は、1株当たり2000円です。他方、JAL株の売り出し価格は未定(9月10日決定予定)ですが、JALは今のところ、3790円と想定しています。つまり、250 万株を取得した京セラは、上場すれば約95億円相当の株を、こっそりその半額の50億円で手に入れるかたちになります。まさに“濡れ手で粟”ですね」
さっそくこの問題について、国会でも取り上げられることとなった。8月21日、国から支援を受け、法人税の免除なども受けるJALが、航空業界の公正な競争を阻害する恐れがあるとされる件で、衆議院国土交通委員会の集中審議が開かれた。
同委員会で、富田茂之・公明党衆議院議員は参考人として出席する大西賢・JAL会長に対し、次のような質問をした。
「京セラなど8社が、JALの上場に際し、(3月に取得した株を)売り抜いて利益を得るなら、やはり不正があったんじゃないかと思われる。(京セラなど)8社に、株を売らずに、安定株主として今後もJALを支えてもらいたいという話は、されているのか?」
質問を受けた大西氏は、「安定株主が欲しいことはもちろんだ」とだけ答えるのが精いっぱいだった。つまり公式の場でJALは、稲盛名誉会長の会社である京セラが、JAL株を売り抜けて利益を上げる可能性を否定しなかったのである。これでは、88年に「値上がり確実の未公開株」を政官財にバラまいたリクルート事件と同じ構図と見られても、おかしくないのではないか。